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サン・クロレラ クラシック 2012

塚田好宣が3日連続の首位に

これで3日間とも、首位を保った。42歳にして悲願のツアー初優勝がかかるが、塚田にプレッシャーはなかった。「いや、自分が勝つと思ってないから」。しかも、この日並んで出たのは豪州の強豪。「どうせブレンダンが伸ばすんだろう」とV争いも、まるで人ごと。「自分は自分でやってりゃいい」と、マイペースが奏功した。

また、この日はジョーンズと、李京勲(イキョンフン)とのプレーに、「日本語で会話しなかったのも、良かったのかもしれない」。学生時代の留学で語学に堪能な塚田は「英語でしゃべるほうがリラックス出来るのかもしれない」。おかげでプレーにも集中出来た。

前半は、5つのバーディで「俺はどこまで行くんだろう」と一人旅。それも結局1打差まで詰め寄られたが、「かえって良い」。これがたとえば5打差のぶっちぎりだと「逆に意識しちゃってダメかもしれない」。

しかし、すぐ下にこれだけ強豪がひしめけば、「明日も“勝つのは俺じゃないし”と思える」。ノンプレッシャーのまま戦える。それが吉と出ればいい。

最終日は、最終組でタイの友人と直接対決。キラデク・アフィバーンラトは、プライベートでも一緒に食事をしたり、仲良しの一人だ。その彼がぽつりと言った。
「ヨシ(塚田の愛称)はパットが入れば、とっくに何勝もしている」。
それだけ、課題のパッティングはやはりタイの大親友のプラヤド・マークセンのおかげで明るい兆しが見えつつある。

実はマークセンは、アフィバーンラトにも塚田と同じアドバイスをしたそうである。
「クロスハンドで打て」。
「そしたらキラデクもよく入るようになったんです。俺もだけれど、なんで入るかがわかんない。やれって言われたからやってるけど、それのどこが良いのかは、自分では分かってない」。

今季は長尺パターに挑戦してみたり、以前はなんと、グリーン上だけ左打ちで回ったこともあるという。
「まっすぐだと打てるけど、大きく曲がるラインだと、どっちに構えているかわかんなくなっちゃう」。奇策は失敗に終わったが、それほど悩みは深かった。

それが、一声で劇的に変わったのだから、理由は分からなくても「信用してやるしかない」。2006年のANAオープン以来、自身2度目の最終日最終組も、友人の助言に忠実にやるしかない。

「これがたとえば谷口徹さんだったら、心のマネジメントも完璧にやるんでしょう。でも、僕は優勝するってどういうことか、まだ分からないから」。
ツアー優勝はおろか、今はシード権すら失った状態で、下手に策を練っても「勝ちたい気持ちが、空回りするだけ」と、良い意味の開き直りがある。
「また明日、3つ4つ伸ばせればチャンスはあるかも。一生懸命やるだけ」と、ほどよく力が抜けている。
タイ語も話せる塚田には、アフィバーンラトとのラウンドも、プラスに働きそうだ。


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