記事
日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯 2012
今週、日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯
ディフェンディングチャンピオンは、偉大な“師匠”2人に連覇で報いる。
河井博大が、田中秀道のダメ出しを食らったのは、今季開幕目前。
昨年の今大会でプロ16年目の初優勝を達成して5年シードを得たことで、つい欲張った。
飛距離を求めて、試行錯誤を繰り返した。
「トレーニングをして、スイング自体も振りの速さとかを変えて、今までより20ヤード以上も飛ばそうと思ってみたりとか」。
昨年は涙の初Vで、これまで重ねてきた努力がひとつの形を成したはずだった。
「積み上げてきた自分のスタイルもあったはずなのに」。
強烈に飛ぶ訳ではないが、絶対に曲げないショットと絶妙の小技。
それらを無視して新たなチャレンジをしたことが、裏目に出た。
新たな取り組みに、混乱して我を見失っていた弟子に田中は言った。
「いきなり何を急に、自分を変えようとしている?」。
師匠の叱責に我に返ったときは、すでにツアーも開幕目前。
「はちゃめちゃのまま、最初の2戦を終えた」。
ようやく回復の兆しが見えてきたのは3戦目。中日クラウンズで2日目に3位。何よりショットの精度が問われる和合で、やっと少し自分を取り戻すことが出来た。
また、このオフは通算すると1ヶ月以上もジャンボ尾崎のもとに通いつめ、食事の席ではこんな光栄なやりとりもした。
「お前、去年の1勝で浮かれてるんじゃないだろうな?」。
「めっそうもない。1ミリも思ってません」と、全否定してもジャンボの追求は続いた。
「1勝は、一生に一度、神様がくれたご褒美だ、と。俺は認めない、と。あのときはお前、外からぽこぽこ入れて、勝っただけじゃないか、と」。
まるであの1勝は、まぐれだったと言わんばかりに責めたジャンボは、しかし最後に「2勝目は、俺が祝ってやる」。これ以上ないエールに気持ちが引き締まった。
自称「苦労人の星」だが、偉大な師匠2人に目をかけられるなんて、この上ない幸せ者でもある。ますます渋みを増してきた40歳が、連覇で男の真価を示す。
※「日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯」の詳しい情報はこちらから!!