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日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯 2012
河井博大が「なんとか優勝争いには」
どこか気まずそうな面持ちで、席の真ん中に座った河井は終始、居心地が悪そうに、会見の最後のほうにマイクを握り、やや控えめに大会への意気込みを語った。
会見後も、どこかおどおどと「ディフェンディングチャンピオンとして臨むのは、はじめての経験。そこで自分がいったいどうなってしまうのか。変なテンションにならないようにはしたいと思ってます」。
栃木県のここ烏山城カントリークラブは日大時代に春、夏の合宿で、数え切れないほどに、ラウンドを重ねたコースでもある。
しかし、いざ思い出の場所に来ても、「コースのことは、ほとんど忘れている」。
やはり日大OBの宮本勝昌や、横尾要にも「先輩、覚えています?」と聞かれたが、「今週まわってみても、やっぱり思い出せない」と首をかしげて、笑わせた。
それもそのはずだ。今年41歳にとって、「あれはもう、20年以上も前のこと」。
むしろ、当時の宿泊所だった麓のコテージや、ランニングを繰り返した周辺のあぜ道。1日2ラウンドをこなした苦しい思い出。「それも、学年が上がるにつれて、楽しい思い出になった」と、なぜか思い出されるのは、そんなことばかりだ。
その分、連覇を狙う舞台は「覚えているといったら1番と、三の丸の2番のショート(大会の11番)くらい」と、ほぼ初めて経験するに等しい。
現在、12フィートが出ていると言われるグリーンも、「アンジュレーションと、スピードが合わさると12フィートとは思えないくらいに速い」。
グリーン周りも難解で昨年のように、外からパターで入れまくる、という秘策も使えそうにない。
「ティショットをまずフェアウェイに置いて、何が何でもグリーンに乗っけていくこと」と、まずは基本に忠実に、1日1日をこなしていくしか今のところは策はない。
ここ烏山城で、日本プロが開催されるのは23年ぶり。1989年大会の、尾崎将司と加瀬秀樹の死闘はテレビで見た。
「あの舞台に、自分がディフェンディングチャンピオンとして立てるのは光栄」と、その感動をひそかに秘めて立つ。
「勝負の世界で最初から優勝する、というのは難しい。でも、やるからには精一杯に4日間を戦って、上位に食い込めるくらいには頑張りたい」。
男泣きに泣いた昨年。今年はまた違った感動を、届けたい。