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“トラブル組”が練習ラウンド(全英オープン)
いわゆる、ロストバケッジ。ロンドンのヒースロー空港は、その“名所”でもある。それでもなお、あえてそのルートを選んだ2人。久保谷は、そこからエジンバラ行きの飛行機に、キャディバッグの積み忘れがあったことが分かった。
次の便で必ず届けるとの知らせを受けたが「こんな経験は何度かある。次の便を待ってまた来なかったらアホらしいので」と、あっさりと引き上げるところは度胸がある。
案の定、お届け日が翌日の朝になり、さらに伸びて昼になり…。
そんなことがあったからというわけではないが、相変わらずこの選手はボヤキ節だ。
「今のゴルフの状態は“入院”しても治らない」。そこそこ悪いだけなら、まだリンクスコースで風のいたずらのせいにも出来ようが、「風のせいにしても、しきんないくらいにひどい状態」とボヤく。
マイナス材料てんこもりの中に、唯一プラスがあるとすれば、やはりミュアフィールドで行われた2002年大会で、メジャー初出場を果たしていること。そして、みごと予選突破をしていること。さらに、初日に2位につけた2009年大会(17位)と、2011年の全米オープンを合わせてメジャー出場3戦で、一度も予選落ちをしていないこと。
「コースにも良いイメージはあるけれど」。この人には、それがかえってプレッシャーになる場合も。4度目の挑戦も、いざ決勝ラウンドへ。その目標が、屈指のネガティブ男の足かせにならなければ良いのだが。
そして話は戻るが、小平のトラブルは久保谷よりもっと深刻だった。今月12日に起きたボーイング787機の事故。ヒースロー空港が一時、閉鎖となり小平の渡英スケジュールが、もろにこれとかぶった。エジンバラへの乗り継ぎは、夕方6時に出発する予定が、どうにか飛び立ったのが夜中の2時。
しかも、乗客の荷物を積み込まないまま。小平の大事なキャディバッグもまたしかりだった。
「本当は土曜日(13日)からコースを回るつもりだった」。予定は完全に狂ったが初めてのイギリス。そんなアクシデントも含めて「楽しんでます」。丸1日、届かなかったキャディバッグも「マネージャーや、他のスタッフさんのほうが心配していて」。本人はのほほんと、いざ初のリンクスコースも「テレビでしか見たことない人ばっかり!」と、大はしゃぎだ。
またこの日16日は久保谷との練習ラウンドでサプライズも。後ろから、一人で追いかけてきたのはK・J・チョイ。前の組が詰まって4番ホールから、小平らと合流することになった。
「体型も大きくないし、日本人が目指すゴルフスタイル」と、特に小技はとても勉強になったという。
初めてのミュアフィールドは、日曜日から合わせてこれで2.5ラウンド目だが「何回まわっても、難しいというイメージしかない」。他の開催コースと比べても、比較的フェアなセッティングと言われてはいるが「僕にはまったく思わない」と、行きの空港トラブルじゃないが練習ラウンドでも「理不尽なことばかりが起きている」。
目標はまずは地道に予選通過。「でも、行けそうとはこれっぽっちも思わない」と自信はゼロ。「精神面が問われるコース。我慢出来ればどうにかやっていけそうかな」。不安ばかりを口にした23歳だが元来は「まったく緊張しないタイプ」で、言うほどにはビビっていない。
「いや…、楽しんでますね」。へらへらっと笑った。