記事

ANAオープンゴルフトーナメント 2013

藤田寛之が連覇を射程に

最終日を前に、首位と1打差の単独2位も、ゴルフの状態は成績とは反比例している。「調子はむしろプロアマのときのほうが良くて。日を追うごとにだんだん、下がってきている」。
輪厚の風や、コースの状況など「実戦のなかで、壊れてくるというか。乱れてきている」。

師匠の芹澤信雄の力を借りながら、懸命の調整を続けている中で、徐々に復調の兆しも見えてきつつも、「まだ半信半疑で。ボールコントロールが出来ていない」と、つい課題が口をついて出る。
それでいて、初日から4位、3位、そして2位と着実に順位を上げて、連覇達成に近づいている状況に「なんでこのゴルフで、この位置にいられるのかが、自分でも不思議な感じ」と首をかしげる。

ラウンド中も、スコアボードをちらちらとチェックして、「今週は松山が、まだ爆発をしていない」。来月のプレジデンツ杯に代表入りするなど規格外の新人は、来月からアメリカでの連戦を控えて、「彼の性格ならば、ここで絶対に勝って行こうと思っているはす。それなのに、怪物がまだおとなしい」と、その点でも藤田の腑に落ちない。
「明日こそは、と思っているはず」と、賞金王はそれを期待しているのか、何なのか。
「メンツが揃ったほうが、面白い」と、根っからの勝負師は、ニヤリと笑った。

この日は4番でも「とんでもないショットが出た」と、右の林から打つなど確かに、賞金王らしくないミスも、この日同じ組で回った小田孔明も、「藤田さんは、4メートル前後のパットは絶対に入れてくるから。外すほうが、珍しいくらいだから」と畏れたように、パットの名手はグリーン上できっちりと取り返せるからこそ、今年も輪厚でここにいる。
「今年はまだ優勝争いを、味わっていないから。楽しみながらやりたい」。口調は静かでも連覇にむけて、賞金王の胸には確かにふつふつと、わき起こるものがある。

関連記事