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JGTO Novil FINAL 2013
竹谷佳孝がチャレンジ初優勝、来年はツアーへ
竹谷が朝、目が覚めて時計を見ると、まだ午前3時50分だった。予定より1時間半も早く起きてしまった。自分でも「緊張している」のがわかった。手も震えている。不安とプレッシャーでつぶれそうになる。だが、不思議とコースに着いたら、平静に戻っていた。1番ホールのティーショットも不安だったが、フェアウェイに飛んでいった。「大丈夫かも」と落ち着きを取り戻した。ずっとパーを続け、7番(パー5)で2メートルのバーディパットを沈め、スコアを10アンダーに伸ばす。
後半に入ると、竹谷の1組前を回る谷昭範が通算8アンダーまでスコアを伸ばしていた。だが、竹谷はリーダーボードを見ていないので、その事実を知らなかった。15番ホール(パー4)で第2打をグリーン手前にショートして、アプローチを寄せることができず、ボギー。
この時点で谷に1打差と迫られていた。
勝負どころは17番ホール(パー3)だった。6番アイアンで打ったティーショットはピン左2メートルについた。「なんとなくこれを入れなきゃいけない」と思った。キャディと「絶対入れる」と話して、下りのスライスラインを読みきり、決めた。
谷が最終ホール(パー5)でバーディを奪い、再び1打差となったが、これまで優勝を逃した失敗を思い出し、「いつもどおりに」プレーすることを心がけた。第2打も刻んで、5メートルに3オン。だが、バーディパットは「手が動かず」30センチ、ショートした。これまでテレビ中継で優勝のかかった30センチぐらいのパットを残した選手がしびれているのを見て、「何だ、30センチじゃないか」と思っていたが、いざ自分がその場面に立つと違った。「こんなに難しいパットがあるのか」と長く感じた。しかし、これをきっちり沈めて、優勝を決めた。
「素直にうれしい。ようやくここまでこられた」と喜ぶ。これまで新人戦やローカルの試合では優勝経験があるものの、チャレンジでの優勝はまるで違う。2006年にプロテストに合格。その後、2008年、2009年とツアーにも参戦できていたが、この3年は、ツアー出場が年1,2試合に限られていた。優勝賞金200万円を手にし、チャレンジ賞金ランキングも2位になった。これで来年前半はツアーに出場することができる。
「若手の活躍に刺激を受け、先輩プロたちからアドバイスを頂き」この権利を手にすることができた。昨年のチャレンジ賞金ランキングの資格で今年ツアーに参加している選手の中では、河野祐輝、井上信、貞方章男、塚田陽亮らが活躍をしている。竹谷もぜひ彼らに続いて、来年のツアーで活躍をしてほしい。