記事

「TRY TO WIN !!」By RYO ISHIKAWA

連覇を狙うアジア主将の直道(左)と、王冠奪還を狙う欧州の闘将・モンゴメリー(右)
8日(金)に開幕を控えた欧州とアジアの対抗戦「ザ・ロイヤル・トロフィ」。本戦を間近に控えた両チームは6日(水)に、会場のアマタ・スプリング・カントリークラブで公式練習を済ませたあと15時から、バンコク市内の大会オフィシャルホテル「シェラトン・グランデ・スクンビット」で合同の記者会見を行った。

ステージ中央のロイヤル・トロフィを挟み、両チームの面々が壇上の席についてすぐ、ひどくなつかしい声が会見場に響き渡った。

わざと大仰な咳払いのあとで、おどけたように「ハッピー・ニュー・イヤー!」。
それは、スペインからの国際電話。主は欧州の初代キャプテン、セベ・バレステロスその人だった。

第1回の2005年から2年連続でキャプテンをつとめ、欧州にロイヤル・トロフィをもたらしたセベ・バレステロスが病いに倒れたのは一昨年の10月だった。
数時間にも及ぶ脳腫瘍の除去手術はそのあと4度にも及び、いまもリハビリ生活は続いている。

しかしそんな不幸など、微塵も感じさせない明るい声が続いた。
「みんなと一緒にいられないことはとても寂しいが、そこにはグレートなキャプテンが2人もいる。僕は何も心配していないよ」。

この言葉に誰よりも発奮したのはもちろん欧州の新キャプテン。昨年のホセ・マリア・オラサバルに続き、セベの後任を引き受けたコリン・モンゴメリーは、自らもゴルフでチームを引っ張るいわゆる“プレーイングキャプテン”をつとめるなど、相当の気合いが入っている。

選抜メンバーも7人中4人が世界ランクトップ50だし、「私以外はみな、昨年のツアー優勝者」と、苦笑混じりに自慢するほど選び抜かれたチーム編成で王冠の奪還に挑む。

迎え撃つアジアチームもまた、負けてはいない。2年連続で大任をつとめるキャプテン・ジョーこと尾崎直道は昨年、悲願の初Vにただ酔いしれていただけではなかった。

歓喜の中にも学ぶべきことは山ほどあり、その中でも強く痛感したことは、「このゲーム方式は初日、2日目のチーム戦が大きな鍵を握るということ」。
そのために選手の実績や実力はもちろん、今年はメンバー同士の相性にもかなりこだわった。

「実際に組んでどうかということまで考えて選んだ。それぞれがみな、各自の役割を自覚し、良い仕事をしてくれるものと確信している」と、早くもその采配に自信をのぞかせる。

今年のコースセッティングは特に、うっそうと生い茂ったラフが手強いが、ジョーご自慢の精鋭たちにかかっては、それすらも連覇の障害にはなりえないだろう。
そして何より「うちには、若い力がいる」。
日本ツアーが誇る18歳の賞金王は、2年連続の舞台でなんと堂々と英語で質疑応答をこなすなど、その成長ぶりを見せつけた。
「今年もまたここにこうしていられることは、ファンやスポンサーや家族のおかげです」と、相も変わらず感謝の気持ちを即興の英文に乗せたあと、Try to win!」と高らかに宣言。
キャプテン・ジョーの確信めいた微笑みが、いっそう深くなった瞬間だった。
  • キャプテンジョーが選び抜いたアジアの精鋭たちは
  • 今から闘志満々
  • 欧州勢はワールドランカーと昨年のツアーチャンピオンを揃え、王冠奪還に鼻息荒いが…
  • 若き代表は勉強中の英語で報道陣の質問に答え、「TRY TO WIN」と勇ましく、欧州勢を迎え撃つ!!

関連記事