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<ツアープレーヤーたちのオフシーズン>2003年世界レベルへの取り組み…伊沢利光
「ゴルフの本当の厳しさ、難しさって、このあたりなんですかねえ…」
一昨年の賞金王として注目が集まった昨シーズン。日本ツアーでは結局、未勝利のまま終わっていた。
だがそれも、もう一段、高いところを目指した結果だった。
2年前のマスターズで4位に入るなど、メジャー舞台で徐々に実力を発揮しはじめていた。
「僕はこれまで、どんなときも常にピンを狙うゴルフをやってきたわけですけど、海外でやるうちに、それだけじゃダメだったことがわかってきた。メジャーには、必ず、“行っちゃ(打っちゃ)いけない場所”というのがあって。そこを確実に避け、安定したゴルフを展開しつつもしっかりとバーディを取る、攻める、ということをやっていかないとこの先、通用しない、と痛感したんです」
しかし昨年は、その思いが強すぎたために「ティショットでもセカンドでも過剰になりすぎて、スイングを崩してしまった」と、振り返る。
これまでの“追う立場”から、“追われる立場”への意識の変化も、伊沢のプレーに微妙な影を落とした。
“賞金王”にふさわしいゴルフを、という思いが、伊沢のこれまでの「ホールの攻め方、考え方」に変化をもたらし、思いとスイングの歯車が、最後まで噛み合わなかった。
「調子はけっして悪くない、しかし、結果に結びつかなかった」
さらなる上昇を期した伊沢には、フラストレーションのたまる1年だったには違いないが、しかしそれも、昨年末の快挙が振り払ってくれた。
丸山茂樹とペアで臨んだEMCワールドカップ。日本に45年ぶりにもたらした栄冠で、伊沢の1年の取り組みが、けして間違いではなかったことが、証明されたのだ。
今月7日から伊沢は、新たにコーチ契約を結んだプロの江連忠と、自宅のある福岡県・飯塚市で今年2度目のキャンプを張り、スイングチェックを済ませたあと、米ツアーのニッサンオープン、WGCアクセンチュアマッチプレー出場のため、16日に渡米する予定。
世界レベルを目指すための、新たな取り組み。伊沢の本当の飛躍は、これからだ。