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つるやオープンゴルフトーナメント 2006
桑原克典が3位タイスタート「シナリオは、出来てるんです」
人前でめったに弱音をはく選手ではない。むしろ、窮地のときほど悠然と振舞おうとする。「プロたるもの」という“美学”を、頑固なまでに守っているからだ。
だから、シード権が確定するまでは、周囲の人たちにも「つらい」とかマイナスの言葉は絶対に使わなかった。
「悪いときこそこれを乗り越えれば、またきっと新しいゴルフ人生が見えてくる」。
つとめて前向きなコメントばかり繰り返してきた桑原が昨年末、最後の最後に本音をこぼした。
「今年は、地獄を見た」。
専属キャディの松村卓さんに、ついもらした言葉だ。
それほどまでに、つらいシーズンを乗り越えてきただけに、今年にかける思いは人一倍。
このオフは、自宅のトレーニングルームで徹底的に体を苛め抜いた。
1日3度の入浴で、疲れのもととなる乳酸の数値を下げてから就寝するなど体調管理にも努めてきた。
「腹が出てるとかっこ悪い。今年は、アスリートゴルファーを目指して体を絞った」。
プロ入り後、初めてと言って良いスランプを経験した苦い記憶が桑原を奮い立たせている。
この日初日は強風との戦い。
「風の中、ミスは絶対に起きる。いちいち気にしていたら暗くなっちゃう。とにかく我慢してプレーした」。2アンダーは3位タイと、上々の滑り出しだ。
次週の中日クラウンズで、桑原にとって一大イベントがある。
週末に、母校の師勝小学校(愛知県・北名古屋市)の児童たちが、会場見学にやってくる。
今年2月、桑原から同校に、スナッグゴルフのコーチングセットを寄贈した。そのとき講演会を開き「今度、みんなをトーナメントに招待する」と約束した。
主催者の協力を得て、実現する。
プレッシャーはある。見学日は決勝ラウンドの土曜日。招待した本人が週末に会場にいないのは言語道断。「もちろん、予選は通ってみせますよ」。
そしてプレーを終えたとき、「おじちゃんのプレー、どうだった?」と子供たちに聞いてみたい。
どんな感想が帰ってくるか、今からとても楽しみだ。
「・・・それでね、翌日には子供たちがテレビで僕の優勝シーンを見る、と・・・。これで完璧。“シナリオ”は、出来てるんです」。
その前にここで結果を出して、自信を持って子供たちを迎えたいところだ。