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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2011
田中秀道が66、5位タイ浮上
2オーバーの44位タイから、踏ん張った。7番からの4連続バーディで盛り返すと、この強い風の中で6アンダーの66はこの日のベストスコアをたたき出して、優勝争いに加わった。
先週は、来季ツアーの出場優先順位を決めるサードQTで、2打足りずに失敗。次週のファイナルQTにすら、進めなかった。またしても、ひとつ復活の道を断たれて「呆然と、落ち込むもんだと自分でも思っていた」。予想に反して、なぜか心は晴れ晴れとした。
持病の腰痛は、「少しでも良くなれば、甘えが出て、試合に出てしまった」。休養を取って、治療に専念するのが一番良いのは分かっていても、我慢が出来なかった。それが積もりに積もって、悪化したのは否めない。
サードQTだってその直前は、腰の痛みで1ヶ月もクラブが握れなかったのだ。「でも落ちてしまえば、もう出たくても出られない。逆に凄く良いことだと思ったら、すっきりした」。
同時に、すでに推薦出場が決まっていたこのカシオワールドオープンに賭ける気持ちが高まった。「失うものは何もない。もちろん、そんなことを言えた状態ではないけれど、それでもやるだけやって優勝を目指そう。そういう気持ちでやってみよう」と、逆に意欲が出てきた。
幸い、腰もゴルフの調子も「超最悪」から「最悪」のレベルへ。「悪い状態には違いないが、それでも良くなっていると、実感出来る」。それも、闘志に火をつけた。
今年5月に日本プロ。弟子の河井博大がプロ16年目のツアー初Vを飾って、思い出す。河井もまたシード権の復活に苦しんだ時期があり、「もうやめる」とまで言ってしばらく姿をくらました。弟子を、再び表舞台に引きずり出したのが、ほかでもない田中だった。
「あのとき、河井に言った言葉をいま、自分に投げかけ、噛みしめながらやる。噛みしめすぎて、いまは奥歯が痛いけど」と笑って、「アイツのように、俺も這い上がっていきたい」と、心に誓って残り2日間を戦い抜く。