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サンクフル主催者ゴルフ懇親会を終えて「これで少し自信が持てる」と選手会長【インタビュー動画】

主催者のみなさんと、選手の立ち位置と何から何までこだわった選手会長の“作品”。チャリティ贈呈式での記念撮影
「サンクフル主催者ゴルフ懇親会」はラウンド後の表彰パーティが大盛況のうちに終わっても、「まだ安心は出来ない」と、選手会長。「みなさんがご無事で帰宅されるまでは、まだ終わりじゃない」。だから、こんな連絡にも池田勇太は軽々と腰を上げたのだ。

会場のレインボーヒルズゴルフクラブから、仙台空港行きのマイクロバスに乗られたお客さまが、ボストン鞄を積みそこねられた。バッグ置き場にあった「仙台空港行き」の立て看板に従って、そちらに荷物を置かれて、うっかりそのままバスに乗り込んでしまったのだ。

空港に到着してから分かった。その日の航空券もバッグの中。すぐにコースに連絡を入れたら、「確かにあります。今からそちらにお届けします」と、バッグをつかんで車を走らせたのが池田だった。そこはもう、スタッフに任せてしまっても良かったのだ。しかし、人一倍責任感の強い男が、大切なゲストの荷物を他の誰かに押しつけるわけがない。片道は45分以上の道のりも、間髪入れずにコースを飛び出していた。

「こんなにも多く、長くトーナメントを開催してくださっている主催者のみなさんに、お返しをする場所がない」。前・会長が抱えてきた忸怩たる思い。「交流の場所を、ぜひ作りたい」と、計画を暖めてきた倉本昌弘の思いを受け継ぎ、「やる」と決めたあとの池田は、早かった。

あっという間に開催日を決め、開催地も決めてくる大胆さの一方で、運営マニュアルにも、進行台本も、すべていちど自分の目を通さなければ気に食わず、細部の細部にまでこだわり、きめ細やかな心配りで、人々の賛同を取り付けて回った。

そして迎えた5月25日・土曜日の本番も、自分は背筋痛でドクターストップがかかり、プレーが出来ないにもかかわらず早朝5時にはコースに入り、トランシーバーを3タックパンツのベルト部分に挟み込み、玄関先でお客さまと選手たちを最敬礼で迎え入れ、今度はコース側に回って練習場の場所を懇切丁寧に案内して回り、ショットガンスタート用の送迎カートの集合状況をくまなくチェックして・・・と、それこそクルクルと、コマを回すような忙しさだ。

地元の子どもたち向けのスナッグゴルフ講習会が終わるなり、クラブハウスのレストランに駆け戻った。表彰式のリハーサルと打ち合わせ。その隙をぬって、子どもたちとの昼食会に顔を出し、その間にもひんぱんに入るトランシーバーからの連絡に応じながらも、無邪気な質問には優しく答え、ご馳走様をするなり、またコースに飛び出していった。

主催者のみなさんとプロとのゴルフ懇親会のあとに、予定されていたこの日のメインイベントだ。昨年1年間で、各トーナメントの賞金総額のうち1%を供出して、コツコツと貯めてきた震災復興支援金。

主催者のみなさんが、東北の宮城県で一堂に会すこの好機を逃す手はないと、チャリティ贈呈式を同時開催することを決めたのも、選手会長だった。その舞台作りにこそ、池田は手を抜かなかった。事前の打ち合わせはここでも看板の位置と、主催者のみなさんと、選手の立ち位置は、テレビ映りに何よりもこだわり、1ミリのズレも許さず、うっかりスタッフが、それを示した目印のロープを足に引っかけようものなら悲鳴を上げて、まるで測量士さながらに距離を測り直して、やり直す懲りようだった。

主催者からいただいた賞金をやりくりして集めた大切な大切な支援金を、主催者のみなさんの前で、倉本副会長と無事に宮城県の岡部敦・保健福祉部長と、宮城県の共同募金会の樋口稔夫・会長の手に託して、ゴルフ懇親会の表彰式でも、参加者から口々に喜びの言葉を聞き、会の成功を確信して「これでやっと、会長としても、選手としても、自信を持ってやっていける」。

就任1年目の一番の大仕事こそ、この会の成功と位置づけていた。「昨日の夜(前夜祭)と、今
日は1.5日の間に本当にいろいろなイベントをこなした。これが、今年いちばんの山場だと思っていたから」。これでやっと、少し肩の荷を下ろせる。「ほっとしました」と、口では言いながらも、池田はもう次の一手のことで、頭がいっぱいだった。

まず「このイベントを、今回の1回限りでは、終わらせません」。選手会長の思いに賛同して今回、協力してくれたプロ31人とともに、花を添えてくれた青木功も言った。「ゴルフトーナメン
トがないと、俺たちの生活は成り立たない。俺たちが今、こうしていられるのもスポンサーのみなさんのおかげですから」。これからも、どんな時もその思いを忘れず、その思いで心をひとつにして、ジャパンゴルフツアーを引っ張っていく。

また、今回の東北に限らず「これからは、ゴルフで地方を元気にする方法を考えていきたい」と地道にトーナメント数を増やしていく計画など、選手会長として、“今やるべきリスト”は尽きることがない。そして何よりこれは、若い松山英樹も懇親会のあとで、語ったことだが「自分も成績を出して、もっとツアーを盛り上げていきたい」。プロゴルファーとして、本業で結果を残すことこそ若き選手会長のいちばんの使命でもある。

<震災復興支援金の寄贈先内訳一覧>
・宮城県「みやぎこども育英基金」
・岩手県「いわての学びの希望基金」
・福島県「ふくしまこども寄附金」
・宮城県「共同募金会」
・あしなが育英会
・子どもの村東北

  • 子どもたちのサインに応じているさなかにも、トランシーバーからひっきりなしに入る連絡事項。「5秒待って!」と池田。「7秒過ぎたよ」と訴える子たちに「ごめんね」。
  • 倉本副会長とともに、震災復興支援金を直々に手渡してそれもひとつ肩の荷を下ろす材料に
  • イベントに花を添えてくれた青木と
  • レッスン会に参加してくれたジュニアとプロたちとの集合写真もぬかりなくセッティング

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