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松山英樹さんは「苦手なことも、やればなにかしら得がある」
12月5日に都内のホテルオークラ東京で行われたジャパンゴルフツアー表彰式で、顕著な活躍をした選手に贈られる特別賞と、ゴルフ記者賞を受け取った。
11月の三井住友VISA太平洋マスターズは、「まだアマチュアだから。賞金も来年の成績も、何も考えなくてもいい立場だから狙っていけた」とは青木功。表彰式のあとの感謝パーティで、石川とともに参加したトークショー。司会進行役をつとめた青木はそう前置きしながらも、「英樹の度胸は、遼に匹敵するものがある」。
たとえ賞金がかかってない1打でも、誰にだって打てるわけじゃない。最終日の最終ホールは、2打差で追いかける谷口徹が先に、ピン左2メートルのイーグルチャンスにつけた直後だった。
池越えの177ヤードは「何も考えていない。ピンしか見えていなかった」と、5番アイアンで圧巻のピンそば50センチに絡めて見せた。
脅威の1打で過去2度の賞金王をねじ伏せた。
しかしそのあと、アマの試合をひとつ挟んで4週連続の強行軍には課題ばかりが持ち上がった。
なんといっても体力面。
「やっているときは感じないのですが、終わってからがきつい」。
連戦で、体の奥底にたまった疲れは、回り終えたあとにジワジワとやってくる。
ツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」も、終わって翌日の月曜日は「やる気が出ないというか、疲れて何をしたらいいのかなっていう状態」と、練習する気力も残っていないほどだった。
同大会2日目に、石川との直接対決で「遼にアプローチ、パットの違いを見せつけられた」と、今後の課題も満載で、「まだまだ練習量が足りない」と反省は出来ても、そのためにも体力、気力が必要だと痛感するにつけて「練習するための体力をつけなければ」と、結局その点に辿りつく。
ストイックに自分を追い込んでいく石川に対して、「練習は嫌い。走るのも嫌い」と、つい本音を口にしてしまう素直さで、それだからこそ「苦手なことも、やり始めたらなんかしら自分に得がある。レベルが上がっていく」と、さらなる向上が待っていると松山さんは確信している。
「このオフはもっともっと練習を頑張って、遼に追いつきたい」とライバルと比べてみても、ゴルフはまだまだ荒削りだが、松山さんがこれからどうやってその差を埋めていこうとするのか。
その道のりを見るのもまた、楽しみだ。
今年、日本人として初のベストアマチュアに輝いた。4月のマスターズも来年は、すでに2年連続の出場も決めている。
「課題はドライバーの精度とパッティング。こんなにゴルフに波があったら、オーガスタでは通用しない」と新年を前に肝に銘じた。