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逆転でのイーグル率受賞も、高山忠洋が次に狙うもの
「これがラストチャンスと、魂を込めて打った」。
みごと沈めて、逆転した。大会直前は2位だったイーグル率ランキング。1位につけていた増田伸洋を抜いて、その座を奪ってみせたのだった。
「こういうのは・・・野球にたとえると、何て言えばいいんだろう?」。
ソフトバンクホークスの小久保裕紀さんの6つ後輩の元・高校球児は偉大な先輩のように、“シリーズでMVP”とはいかなかったが、「今までにバーディ率など、最終戦で僕が逆転されてしまったこともあったので。一生に一度でいいから何かで1位になってみたかった」と、部門別ランキングで自身初の栄冠に酔いしれた。
また今季は、賞金王に輝いた裵相文(ベサンムン)の3勝に次ぐ年間2勝を挙げて、賞金ランキングも自己最高の2位につけたのは喜ばしいが、高山には忸怩たる思いも。
記録も大事だが、ファンの記憶に残るプレーをすることの大切さを思い知ったのは、今季2勝目を挙げたカシオワールドオープン。
“藍ちゃんのお兄ちゃん”の宮里優作との優勝争いで、感じた。宮里は未勝利ながら、ロープ際の声援は、確かに自分のほうが負けていた。
「おかしいな、俺は4勝(当時、現5勝)もしてるのに」と、あとから苦笑いで打ち明けた高山は「人々を感動させられるゴルフとは」という、プロゴルファーとしての究極の課題を今まで以上にいっそう意識するようになった。
今年も12月5日に都内のホテルオークラ東京で行われた「ジャパンゴルフツアー表彰式」での表彰対象となる「MIP賞」は、正式名称を「Most Impressive Player賞」と言い、つまり「今年、もっとも印象に残った選手」は投票で受賞者が決まるなど、ファンの声がダイレクトに反省される賞でもある。
「それも、一度は獲ってみたい賞のひとつ」と高山はいう。
「あとは最優秀選手賞とか、もともと安定感がないから、パーキープ率とか。バーディ率も獲ってみたい。贅沢を言ったらきりがないけど、来年はそういう部門でも頑張ってみたい」と、新年を前にますます欲張った。