最初に記録を塗り替えたのは、２つ先輩の藤本佳則さんだった。それまで、小樽でのアマチュアのコースレコードは70だった。
２日目に藤本さんが69で回ってまずは１打更新。さらに３日目には68をマークして、さっそく自身の記録を上回り、そして同日はその直後に松山さんが、なんと64をマークした。

東北福祉勢が、ひときわ輝いた４日間だった。最終日も松山さんは、「絶対に負けない」。順位よりも、スコアよりも、何よりも先輩の藤本さんにライバル心をメラメラと燃やし続けて通算スコアでは、１打上回る８アンダーで、ベストアマチュア賞を獲得した。

「･･･でも、今日のスコアでは負けました」と、松山さん。確かにこの日のスコアは、松山さんが72で、藤本さんは71。

そのたった１ストロークが、松山さんは悔しい。
「いつも試合では負けてばっかりです。１日１日で考えると、やっぱり藤本さんにはなかなか勝てない」と、ツアーで６位タイという素晴らしい成績にも、松山さんはそちらのほうが、気にかかって仕方ない。

「先輩に勝てるように、もっともっと頑張ります！」。このように先輩後輩問わず、闘争心をむき出しに、競う合うことこそ躍進の秘訣である。
教え子のそんな葛藤をよそに、阿部靖彦・ゴルフ部監督が喜びの声を上げた。「２人一緒は初めてなんです！」。

本戦のチャンピオンは、やはり東北福祉大出身のトッププロ。同大学の選手がトーナメントで優勝と、ベストアマを独占するのは初めてのことという。
星野英正や宮里優作ら強豪を排出してきた名門校は、今もなお着々と次世代のスター候補を育み続けている。

池田勇太と表彰式で、肩を並べた松山さん。「先輩の優勝シーンを初めて見ましたが、小樽で14アンダーはすごい。あれほどのショットの正確性と、パットがないとツアーで勝てないんだな、と」。その雄姿を目に焼き付けて、「少しでも近づけるように、1日1日無駄にしないで頑張りたい」との思いを新たにしていた。

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• 松山 英樹
• 藤本 佳則
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