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SMBCシンガポールオープン 2016
世界トップ50も夢じゃない! 新生シンゴが始動
「そうそう。全部、普段日本でも使っているものばっかりだよ」と、片山はこともなげに言うが、海外ではこれだけの品物を持ち歩こうと思うと、荷造りだって容易ではない。「なんで? たいしたことないよ。これだって軽いし・・・」と、数ある中から手に取った器具も、これだけかさばる物ばかりが揃えば空港の手荷物検査でも、いったいいくらの超過料金がかかるやら。
ほぼ赤道直下のシンガポールはこの日26日火曜日は、あいにくの曇り空も、その目はギラギラだ。「今週は、ちょっと本気を出してやろうと思ってる」。
もっとも最初は、それほどでもなかった。アジアにおける、“シンゴ”の人気は絶大で、「今回も、大会からぜひ出てくれって言われて」。
アジアでの連戦の狭間の先週は、きゅうきょタイでキャンプを張ることにした。「暑さに慣れておくことが、大事だと思ったから」と、最初は調整がてらのバンコクでも、やにわに気合いが入ってきたのは、嫌でも今の自分の立ち位置を自覚したから。
この日、インタビュールームで行われたフォトセッションでは、世界1位の男と並んで立った。「この歳で、この場にいられることに、本当に幸せを感じている」。現在、世界ランクは61位。アジアと日本ツアーの共同主管で行われるこの「SMBCシンガポールオープン」では日本勢では最上位の選手として、ここでも大会に請われるままスピースの隣で写真に収まれば、ますます腕も鳴る。
今年は、新年から代表づいている。1月第2週にマレーシアで行われたアジア版ライダーカップの「ユーラシアカップ」では唯一の日本勢として、アジアチームのメンバーにも名前を連ねたばかりだ。
今年は112年ぶりに、ゴルフが正式種目に復活するリオ五輪でも、松山英樹と並んで代表候補の筆頭に上がっており、「・・・(1月31日で)43歳が、出ちゃってもいいのかな??」と、遠慮がちな言葉にも、隠しきれない自負がにじむ。
「本当にこの歳になって、この位置にいられるというのは、他のスポーツではありえないこと。自分でも今まで踏み込んだことのない領域に、入りつつあるというのを感じている」。
世界ランク1位のスピースの出場に湧く今大会ではなおさら、片山が同50位に“復活”する可能性も、大いに高まる。「いや、“復活”じゃないのよ。“復活”って言葉は、好きじゃないのよ。僕は常に新しいのが好きなのよ」。
近頃はそんなふうに、こだわりが強くなってきたことでも、自覚がある。「ああ、気持ちが戻ってきたんだなって。最近は、普段からよくムカつくようにもなって。それって若い頃の感覚。ああ、本当にやる気なんだなって自分でも思うんだ」。
不惑を越えて、枯れるどころかますますギラギラ燃えている。シンガポールから、新生シンゴの勇姿を世界に向けて、配信したい。