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レオパレス21ミャンマーオープン 2016
矢野東が2位タイに
この日は今週一番の南風が吹いて、プリファードライの適用も3日目まで。グリーンを外す回数が多くなると、たちまちノリスはアプローチに手こずるようになり、「バタバタしだして。たぶん、彼はイップス」と見抜けば、「もうワンチャンスあるかもしれない」。
相手は7番からの3連続ボギーで、一時は4打差まで迫れば、なおさら色めき立ったが、「やっぱり最初の7打差はデカかった」。最後はあっさりと逃げ切られた。悔しくて、せめて最初に決めたノルマは絶対に果たしてやろうと思った。逆転Vは無理でも、せめて2位狙い。
最後の18番は、手前から3メートルにつけて気合いが入った。ボール1個分のフックラインを読み切った。渾身のバーディ締めに、最後の最後もまた力の限りに、右の拳を振り下ろした。
一昨年にシード落ちを喫して、ツアー3勝の選手が昨年は、2002年以来となるチャレンジトーナメントでも戦った。2015年の賞金ランキング64位で、第2シードながら復帰元年の今季は、「一生懸命に練習をして、一生懸命にトレーニングをして、シード権ばっかり見ているようじゃ、報われない」。
昨年も、一昨年もトップ10すら入れずに、痛感した。プロはやっぱり、勝ってなんぼ。2年がかりで、やっとその舞台に戻ってこられた。ミャンマーで、その足がかりを作った。4月の国内開幕戦を前に、賞金774万4777円を手にして「相当デカい。これで今年はシードもフォールシャッフルも頭から除外していい」。
8年間も、見放されたままの勝ち星だ。「今年はもう優勝だけ目指して伸び伸びと戦える」。
乾ききった喉。飢えた心に、差し出されたミャンマービールが染みわたる。「ぅんまいっ!!」
日本の大手不動産「レオパレス21」のタイトルスポンサーを受けて、3年ぶりに復活した14回大会を、本当に最初から最後まで盛り上げた。ツアーきっての酒豪は火曜日の前夜祭で、お客さまに勧められるまま陽気に杯を空けて“宴会”を盛り上げ、水曜日のプロアマ戦では、チームスコア11アンダーで、お客さまをみごと優勝に導き、喜ばせた。
2010年の今大会では一緒に出場した先輩プロで、仲良しの平塚哲二が優勝を飾った。あれから6年ぶりのミャンマーは、目を見張るほどの経済発展をとげていて「僕ら外国人にもとても過ごしやすくなっていて」。
大会指定ホテルの「ノボテルヤンゴンマックス」は、2015年に開業したばかり。ヤンゴンの街にそびえる高級高層ホテルは食事も美味しく、スタッフはみな、笑顔で迎えてくれる。ホテルの周りは10分も歩けば大型ショッピングモールも出来ていて、日本のファーストフード店や、ラーメン店などが建ち並び、何不自由なく過ごせる。
ミャンマーで、またとっておきの思い出が出来た。3日目には、14番で人生初のアルバトロスを達成して、その晩は平塚とささやかな祝杯をあげた。大好きな仲間との酒宴を盛り上げてくれたのも、やっぱりミャンマービールだった。
「今週は平塚さんと、30リットルは呑みましたよ!」。
国内ビール最大手は昨年、実は日本のキリンビールが買収していたと知って、すかさずここでもまたスポンサーを喜ばす。
「僕、キリンのラガーが一番好きなんです!」。帰ったら、今度は日本のビールで乾杯だ。