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東建ホームメイトカップ 2016

特大のバーディ締め! 永野竜太郎もV争いに踏みとどまった

竜太郎も負けるな!
最初の地震発生時に、最大震度の7を記録した益城町(ましきまち)の出身だ。「昨日は、自分のところが一番ひどくて」。それでも家族の無事が分かったし、当事者だからこそまだ、余裕を持って話すことも出来た。

しかし、再び起きた大地震は今度は、親友の自宅がある町が、大きな揺れに見舞われたと知ったとき、かえって永野は平常心を無くした。

「昨日は、試合の展開も厳しかったし疲れて、10時頃には寝ていて。それに、あれ以上ひどいことが起きるとは思っていない」。
それが、再び深夜に地震速報が鳴り響き、急いでテレビをつけると菊陽町で震度6を観測していた。重永の実家の周辺ではマンションが倒壊したり、「どんどんひどいことになっていく」。
崩落した阿蘇大橋は、永野もよく渡った橋だ。
「唖然とするしかなかった」。早朝から、重永に電話をして互いの家族の安否や状況を確認しあわずにはいられなかった。

昨日より、永野の不安は明らかに増していた。
市内で母と住む祖母は、足を悪くしていて2度目の大地震では、中からドアが開かなくなるほど危険が迫った4階のマンションから避難するにも、祖母を支えて階段を降りる母の苦労は想像がつく。

やっと外に出ても、近くの小学校の避難所は一杯で、着の身着のまま駐車場で夜を明かしたという家族を思うと、「試合になったら集中はするけど、頭の片隅ではやっぱり気になる」。心配でたまらなくなる。

この日はスタートの1番でボギーが先行。そのあとも、パットが決まらず前半は伸び悩む永野に、「大変だけど頑張って!」。
詰めかけた大勢のギャラリーのみなさんに、「暖かい声援をしていただいて、有り難かった」。
応えないといけないと、踏ん張った。
15番で連続バーディを奪うと、18番では奥から下りの10メートルものバーディトライをねじ込んだ。滅多に感情を出さない選手が、特大のガッツポーズを握った。首位と4打差で踏みとどまった。

「アトムも頑張っている。自分もしっかりとしないといけない」。
永野にとっても今は、帰るに帰れない故郷を胸に「明日も全力でプレーする」と誓った。

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