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奥田靖己が初優勝<ザ・レジェンド・チャリティプロアマトーナメント>
大会実行委員長の青木功が、大会3度目のエージシュート(72)を達成してひときわ存在感をアピールする中で、55歳もひそかに感動の優勝秘話を紡いでいた。
ハプニングは、8日金曜日のプロアマトーナメント終了後に起きた。奥田のキャディバッグにくっついていた宅配便の往復伝票。なんと! 気を利かせたコーススタッフが、その日のうちに、奥田の地元・大阪に送り返してしまったのだ。
開催コースの麻倉ゴルフ倶楽部(千葉県)の稲田康男・支配人の耳に、衝撃の事実が届いたのはもう、夜の9時もすぎたころ。奥田のバッグはすでに大阪にむけて出発してしまったあとで、もはや止めようがないと分かった際の稲田支配人の決断と行動は早かった。
「もう自分が取りに行くしかない」。マイカーで、配送トラックをひたすら追いかけ約6時間。大阪住之江の配送センターで、とうとうバッグを見つけ出すと車は市内に置いたまま。朝イチの飛行機に飛び乗った。「おかげでなんとか奥田選手のスタート時間に間に合わせることができました」。
初日は10時10分のティオフも、決まって直前の40分前には練習場に向かうという奥田のルーティンにも間に合った。
「まさか支配人が自分のお車で取りに行ってくれたなんて知らなかったから」と、さすがの奥田も目をシロクロ。
「感動ですよ。こんなにしてくれるコースはないと思って・・・。それが本当に嬉しかったので。今日も良いプレーが出来たのだと思います」。
初日の7アンダーに続いて、この日の最終日は後半の11番と15番。「ハーフで2つのイーグルなんて!! 試合では、たぶん経験ないと思う」と本人すら目をむく奇跡の大逆転も、稲田支配人のサポートがあってこそ。
「優勝してくださいって、今日も送り出してもらって。それで気持ちができたのかもしれない」。また同伴競技者にも恵まれた。同組で回った俳優の舘ひろしさん。「舘さんや、みなさんの後押しがあって、優勝することが出来ました!!」。
初日は連覇を狙う倉本の10アンダーに「そのまま、今年もそのまま勝つんだろうと思っていましたから」。レギュラーツアーの選手の中では、歴代の賞金王の藤田寛之や、同じ関西出身の若手、藤本佳則もこの日は良いゴルフを見せていたから、なおさら「もう、サイコーですね!」。
そして2009年大会以来、2度目の出場で栄冠を手にした奥田が何よりも、嬉しかったのは「プロとして、この場に立てたこと」。ホールインワン賞の200万円には今回該当者はなかったが、それもすべて地元千葉県の子供病院に寄付されたように、大会の一番の主旨は「がんばる子ども達へ愛を〜」。
発起人の青木の「子どもたちに手をさしのべたい」との熱い思い。選手の獲得賞金の一部と、大会を通じて集まった収益金は病気の子や、震災で被災した子どもたち、また震災孤児たちを支援する団体ならび基金に贈られるだけに、「社会貢献できたことが本当に嬉しい」と、奥田。
著名人の部で通算16アンダーを記録して逃げ切った前田亘輝さんも、「人生において優勝したことがなかったので。いろんなことを含めて初優勝です」と感無量で、「レジェンドの魂がずっとずっと引き継がれていけばいい。子供たちのために、自分も協力していきたい」と、青木の脇をがっちり固める実行委員の王貞治氏と、日野皓正氏ら3人の“レジェンド魂”の継承を揃って誓っていた。
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