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ゴルフ界のマー君が新人賞受賞

ゴルフ界のマー君が、壇上に上がってちょっぴり挙動不審なのは、大勢のスポンサーのみなさんを前にして、極度の緊張状態にあったから。「こういう場所にはまだ慣れていませんので・・・」と、たどたどしいスピーチにも「気の利いたことが言えなくて、スミマセン」と恐縮しきりだ。

ゴルフトーナメントの主催者で構成される日本ゴルフトーナメント振興協会(GTPA)が、毎年男女ツアーで顕著な成績を残した新人を、さらに人格やマナーやエチケット、将来性をも加味して選出、表彰している“ルーキー・オブ・ザ・イヤー”。
2013年度は男子ツアーから、松山英樹とともに選ばれたのが川村昌弘。年間4勝を飾った松山は、まさに史上初の“ルーキー・キング”に輝き、文句なしの受賞も、いまは米ツアー参戦中で、この日7日は金曜日の受賞式を欠席するかわりに、表彰会場となった都内のホテルにビデオレターでメッセージを寄せた。

食い入るように画面を見つめていた弱冠はたちの川村に対して先輩の松山は、「2つしか違わないのに」。いつも堂々としていて、自分のたった2つ上とも思えない。「松山さんは、もうこういう場所は慣れているけど、僕はまだちょっと怪しい・・・」と、司会の女子アナの方とのやりとりも、どこかちぐはぐなまま。
2008年には石川遼。さらに2009年には池田勇太が名前をつらねるなど、蒼々たる歴代の受賞者の面々と肩を並べて「非常に光栄ですね」との感想もどことなく、おどおどとした受け答えも、あと2勝、3勝と重ねていけば、きっと・・・。
「今年もあわよくば、勝ってぜひそうなりたいものです」。

スピーチも、ゴルフもさすがに松山の勢いにはかなわないものの、福井工業大学附属福井高校を出てすぐの一昨年は、デビュー年にさっそくと初シード入りを果たしてさらに昨年は、「アジアパシフィック パナソニックオープン」でツアー初優勝を達成するなど、ここまではとんとん拍子で来ていることには、本人も「満足」と結果には及第点でも、昨年は序盤にケガに苦しむなど、課題も残った。

「今年はまずは体力の強化。そして国内では“最高峰”に位置づけられる、日本オープンを狙って行きたいです」。世界にも目を向ける。昨年の初優勝で得たアジアンツアーのシード権。「日本で試合のない週は、積極的に出て行きたい。アジアでも結果を残していきたいです」。一見ほのぼのと、いいとこのお坊ちゃんといった風情も残るがどっこい、芯の強さは折り紙付きだ。

先日は、ジュニア時代からの親友でもある時松隆光(ときまつりゅうこう)と吹雪の中のラウンド。落ち合った福岡県は猛烈な寒波に、「僕が行ったときに限って何年かに一度の雪が降りまして」。予定していたコースがクローズと聞くや、営業しているゴルフ場を探しまくって強行軍。
「今はそんなふうにして、プライベートなゴルフを楽しんでいます」とニッコリと笑ってから「オフの調整らしきものはまだ・・・。なんか僕、プロゴルファーらしくない。大丈夫かな?」と自分ツッコミで首をかしげつつも、気を取り直して「明後日から、フロリダに行ってきます!」。いよいよ米国合宿で、ゴルフ界のマー君も本格始動だ。

2年後にはリオ五輪が控える。112年ぶりにゴルフが正式種目に復活する記念の大会で、早くも強化選手として白羽が立つ選手の一人だ。「日程的にはまだもう少し先ですし、日の丸を背負うというのにもまだ早いのですが。ぜひ正式な代表に選ばれるように、これからもいろいろなことにチャレンジをして行きたい。そこを目標に頑張って行きたいです」と、志も高い。
  • 今年のルーキー・オブ・ザ・イヤーは川村のほかに女子プロの堀奈津佳さん(右)、松山英樹と比嘉真美子さんが受賞

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