記事

ダイヤモンドカップゴルフ 2013

兼本貴司は、大洗での“連覇”がかかる

笑って首を振った。「だって、藤田さんでしょう?」。確かに、ディフェンディングチャンピオンは、藤田寛之。しかし、今大会が4年ぶりに舞い戻った舞台は、ここ茨城県の大洗ゴルフ倶楽部だ。2009年大会のチャンピオンが、兼本だった。

それは感動的な優勝シーンだった。プロ17年目のツアー初優勝は、尊敬してやまない中嶋常幸との同組対決というシチュエーションも相まって、男泣きに泣いた。
ゲームは、ブレンダン・ジョーンズとのプレーオフというドラマチックな展開にも、涙を堪えることが、出来なかったものだ。

「もちろん、あのときのことは、覚えていますよ」。
当日のコンディションも、はっきりと覚えている。
「あの日は、今日とは真逆の風」。

風向きによって兼本は、ここ大洗ではまったくゲームプランを変えている。
プロアマ日のこの日水曜日のような「南風」の日は、積極的にドライバーを多く握る。
「出来るだけ遠くに持っていかないと、距離が残ってしまうので」。
もちろん、その分リスクも高くなる。

これが逆向きになると、フォローの風に乗せて、アイアンを使って低い球で攻めるという選択肢になる。また勝算も出て来る。「勝ったときがそうだったんだけど、アイアンで打てばフェアウェイを突き抜けないし、うまくいくことが多いんですよ」。
そういえば、あのときはパットも面白いように決まって、何もかもが上手くいった。
「2度はないとは思うけど」と、笑った。
「ディフェンディングチャンピオンでもないけど。大洗の“歴代覇者”だしね」。難コースを制したプライドを武器に、思い出の舞台でツアー通算3勝目を狙っていく。

関連記事