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〜全英への道〜ミズノオープン 2011
河井博大が初のメジャー切符を獲得
シード入りとシード落ちを繰り返し、紆余曲折の人生を歩んできた。もちろん、メジャーは初めての挑戦。ただでさえ、不安でたまらないのに、後輩に脅かされて心底ビビっている。
今年の会場は、ロンドン郊外のロイヤルセントジョージズ。2003年大会で経験している谷原秀人に「河井さん、相当難しいですよ」と改めて釘を刺されると、だいたいの想像はつくとはいえ、いっそう恐怖が募る。
「生きて帰って来られるかどうか・・・」とのつぶやきも、あながち冗談だけでもない。
「途中で行き倒れないように。それを第一の目標に、頑張ってこようと思います」。
涙の初優勝を挙げて以来、我ながらその反響の大きさに驚いている。
毎週、ツアーに届く大量のファンレター。
「ゴルフを見てあれほど感動したのは初めてです」。
「勇気をもらいました!」。
「涙が出ました」。
「30代、40代を代表してこれからも頑張って」。
励ましというよりも、河井の活躍に自身の人生を重ねているようなメッセージが数多く寄せられて、自覚した。
「僕は、“苦労人の星”なんだ、と」。
石川遼のようなスター性が自分にはないことは、百も承知だ。だけど、自分と同じように、悩みを抱え、苦しみながらも、家族のために汗を流し、懸命に生きている自分とほぼ同世代の人たち。
「ゴルフを通じてそういう方々に、元気を与える的な役割ならば、自分にも出来るのではないだろうか」。
そう考えるうちに、恐怖だけだった今回の遠征も、「半分は楽しみになってきた」と河井は言う。
苦戦は覚悟の上だ。
それでもリンクスの厳しい自然にくじけそうになっても諦めない。「ぼろぼろになっても最後まで戦い抜く。そういう気持ちだけは、貫きたいと思います」。
苦労人の星が、いざ聖地に挑む。