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池田勇太は「青木さんに“後は頼んだぞ”と言われたような・・・」

2016年度の賞金王はそのほか7部門別ランキングで1位を獲得したが、シーズン終了直後はいったい自分がどの部門で1位になったか、把握していなかったようだった。

平均ストロークは69.62%を記録して、初受賞。1.7249の平均パットは2010年以来2度目。バーディ率は、2014年以来2度目の受賞も、本人はそれでどう、というわけではなく、「平均パットがいいと、バーディ率が良くなるとかいうように、こういうものはそれぞれつながっていくものであって。一つに特化してしまうと、ゴルフに偏りが出てしまうと思う」とはなるほど、オールラウンダーらしい持論から、毎年どれかにこだわってプレーするということは、あまりないらしい。

それよりも、池田がその後、折に触れて幾度となく、受賞の喜びを表したのが、MIP賞とゴルフ記者賞であった。

この2賞はいずれも、他者からの選出で決まる。ゴルフ記者賞は、この1年間、もっとも選手の近くでプレーを見てこられた116人の記者のみなさんの投票で決まる賞であり、MIP賞は正式には「Most Impressive Player(モストインプレッシブプレイヤー)賞」と言い、その年、もっとも印象深い選手として選ばれるものである。

池田は年末に改めて、メディアのみなさんを招待して感謝を伝えるなど礼を尽くし、とりわけ初受賞となったMIP賞には感慨深い言葉を残した。

2001年に誕生したMIP賞は昨年までは、ファンのみなさんによる投票で選出されて、2007年からは石川遼の独壇場だった。

今年、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の新会長に就任した青木功は「私の責任で、今年はこういう形にした」と思い切って、その選出方法を変えた。

ファンの方々の投票はもちろん、非常にありがたいことだが、「ファンの中には、アンチもいる」と、青木はそもそもの賞の主旨にこだわり、「最終的に、一番目立った人に、あげたかった。谷原にも、キョンテにも、小平にもあげたくて、最後まで迷ったけれど。最後は私の公平な目で決めた」と、今年のMIP賞は“青木功賞”と言い換えても良かった。

青木のひそかな葛藤をあとから聞いた池田は、背筋を伸ばして「“じゃあ勇太、あとは頼んだぞ”と、青木さんにはそう言われたような気がします」。

池田が昨年まで3期連続の選手会長の荷を下ろしたのと入れ替わりに今年、重責を背負った青木。
1日とてクラブを握らない日がなかった今までの生活は、激変した。ゴルフがしたい気持ちを抑えて、その分、会長職に邁進し、就任時に掲げた「人を育む」とのスローガンのもと、若い選手たちの中に飛び込んでいった。
会場ではファンサービスに専念して、お手本を示した。
選手たちにも自ら用意したサインペンを配って言ったのは「今年は一人でも多くのファンにサインをしよう」。

シーズンも、終盤を迎えるころにはすっかり浸透して「青木に変わったから、選手たちも変わってきたんだね、と。あちこちで聞かれるようになって嬉しかった」と青木は言った。

そんな中で、青木は2016年度のMIP賞に、池田を選んだ。
「僕が初めて賞金王になったということもあると思うが、ほかにもいろんな選手がいる中で、青木さんが僕を選んでくれたというのは、これからますます時代が変わり、頑張っていかなければならない中で、期待されていることだ、と。僕ら選手も青木さんの背中を見てこれからますます変わっていかなければいけない」。

年末の世界ランク50位に招待状が贈られる、4月のマスターズトーナメントの出場も決まった。
2017年の年明けを目前に、来季に向けて、さっそく賞金王の自覚でいっぱいになった池田だ。

※12月5日のジャパンゴルフツアー表彰式で、2010年以来2度目のゴルフ記者賞を受賞した池田には、株式会社産業経済新聞社 サンケイスポーツ編集局の稲垣博昭さまより記念のトロフィが贈られました(写真3番目)。

初受賞のMIP賞には、一般社団法人 日本ゴルフツアー機構より記念のトロフィと、RIZAPグループ株式会社の瀬戸健・代表取締役社長より、RIZAPグループ商品2ヶ月無料券が贈られました(写真4番目)。

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