記事
SMBCシンガポールオープン 2017
今季初戦を制したのは、シニアの英雄!
あと1週間後にも51歳は、出場最年長。タイの英雄、プラヤド・マークセンが、日本ツアーは2年ぶりの通算6勝目、アジアでも2年ぶりの10勝目を飾った。
50代の選手がレギュラーツアーで勝つのは2006年に、中嶋常幸が三井住友VISA太平洋マスターズを制して以来の快挙だ。
最終日は前日3日目の第3ラウンドの残りが終わるのを待たずして、前日のうちにホールアウトしていた選手は組み替えなしで最終ラウンドに出たためマークセンが、67を出して上がったのは、第3ラウンドを単独首位で終えた最終組のアダム・スコットが最終ラウンドの最終ホールにやってくる2時間以上も前だった。
しかしスコットは終盤にV争いから脱落した。スコットの3つ前で回っていた永漢(ヨンハン)は、最後の18番パー5を1打差で迎えたが、3打目のアプローチが大きくピンをオーバーして悔しいパーに終わった。
さらに後ろのアンジェロ・キューも、最終ホールでイーグルなら追いつけたが、ティショットを池にいれて万事休すだ。
「クラブハウスですっかりくつろいで、ご飯を食べたり友人とおしゃべりにしながらテレビを見ていたら、途中でいきなり単独首位になった」と、本人も驚いた4打差12位からの逆転Vだった。
2位タイに終わったパチャラ・コンワットマイは、まだ17歳。タイの選手も若手が次々と台頭する中でも、百戦錬磨のベテランが、シンガポールで大きな壁となった。
タイの若い選手たちにあっという間に囲まれて、狂喜乱舞の50歳。そのかたわらでしょんぼりと、永漢(ヨンハン)が壁の花。
「僕が良いときは、いつも上にマークセンがいる」と最終日に63を出されてやはり逆転負けを喫した一昨年のダンロップ・スリクソン福島オープンを思い返して、片えくぼで唇を噛んだ。
6位タイに終わった小平も、「悔しいけど、見習いたい」と、50歳を仰ぎ見た。
「タバコもお酒もやらず、無用な遠出も避けて、腹八分目」が健康の秘訣だ。
1991年のプロ転向から「ゴルフスタイルは何も変えていない」と言い、「毎週末に会場にいられること(予選通過)だけを考えている」と言って笑わせた。
「タイにも若くて良い選手がたくさんいるが、今の若い子たちは遠くに飛ばそうとしすぎている。それよりもっと経験が必要」と、柔和な笑顔でちくりと苦言も呈した。
先妻をガンで失い、失意にあったが再婚し、昨年には4人目の赤ちゃんが誕生したばかりと、50歳は幸せ真っ盛り。
成人した長男も、プロゴルファーとして活躍するが「一緒にラウンドしても、まだまだ負けない」と、お父さんはまだまだ元気いっぱい。
今大会は全英オープンの予選をかねており、12位タイまでの資格を持たない上位4人に出場権が与えられる。
17歳のパチャラら若手に混じって50歳が、5年ぶり6度目の切符を手に入れた。
今年はその翌週に全英シニアオープンもあり、今年7月には微笑みのベテラン戦士が2週連続で、リンクスコースに居座ることになって「とても楽しみ」。
驚異のシニアが改めて、無尽蔵の強さを見せつけた日本とアジアの今季初戦となった。