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青木功が宍戸を視察
6月、主催の「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills」までひと月を切り、その視察のためである。
先週の中日クラウンズでは、5年ぶりに実現したAO対決に、「N」がいないと嘆いていた青木。ジャンボと58回目の和合を盛り上げながら、「中嶋くんもいたら良かった」と、残念がっていた。
その翌週にも中嶋と、なんと同日にほんの目と鼻の先にいたとはつゆ知らずに、今年も大会でコースセッティングのアドバイザーをつとめる田島創志らと、1ヶ月後に迫った舞台を74歳が精力的に見て歩いた。
昨年は、3月に会長に就任したばかりで、大会はすでにほぼ準備が整っており、開催当日に斬新な位置にピンを切ったり、フェアウェイのライン出しを変えたりそのくらいの演出しかできずにちょっぴり消化不良だったが2年目の今年は、昨年度の反省や改善点を鑑みながら、さらに一歩、踏み込んだ演出が出来る。
コースセッティングなど、競技面でのさらなる向上はもちろん「観に来てくださる方々に、よりいっそうの臨場感を味わっていただきたい。出来るだけギャラリーのみなさんに、優しいトーナメントにしたい」と観戦エリアにはそれこそ、時間ごとの陽光の差し込みや、逆光具合まで計算に入れたり、改革とともに、さらに細やかな配慮を施したいと着々と、計画中である。
今はまだ普段着の宍戸の18番が、最終日の6月4日には、どんな風景に染まるか。青木の胸も鳴る。
折しもこの日、宍戸ヒルズカントリークラブでは、メーカー主催の学生対抗戦を控えて、若い力が練習ラウンドの真っ最中であり、その中に一昨年の史上最年少の日本アマ王者の顔を見つけて、目尻が下がった。
この春から東北福祉大に進んだ金谷拓実(かなやたくみ)さんも参加しており「どうだ、宍戸は」と、嬉しそうに声をかけた。
「難しいです…」との金谷さんの正直な感想に、いっそう笑み崩れた。
先週のAO対決に挟まれて奮闘したのは、こちらも若い二十歳の星野陸也だった。改めて、その才能に感心しながら「もう2、3キロ、体を太く出来ればもっと重い球が打てるようになる。もっと飛ばせる」と、難攻不落と言われる宍戸も、難なく制する若手がこれからまた、どんどん出てくるだろう。
そんな彼らにJGTO会長として、これからどう対抗していくか。青木には彼らとの、“頭脳勝負”もまた楽しみだ。
宍戸の草野通朗・総支配人によると、今年はコースの竹林のタケノコも不作。この日は、遅咲きの八重桜も、花散らしの風が吹いた。
芝生も例年より成長が1週間ほど遅いといい、開催を間近に控えてコース管理の方々の奮闘が続く中、繰り広げられる青木の“完全丸ごとプロデュース”。JGTO会長が、今年の宍戸にどんなドラマを演出するか。こうご期待である。