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ジャパンゴルフツアー表彰式を開催(12月4日)
「貸衣装ですけど・・・。スミマセン」と宮里優作はなぜだか詫びながらまずは選手全員を代表して心をこめて今年1年の感謝を。そして改めて、溢れんばかりの喜びを語った。
「小平選手、チャンキム選手、池田選手と最後まで争い、自分がここに立っていることに幸せを感じています。賞金王って本当にいいものだな、と」。
この日、ANAインターコンチネンタルホテル東京で行われた2017年度の「ジャパンゴルフツアー表彰式」はその年の各部門別ランキングで1位を獲った選手をたたえるとともに、お世話になったすべての方々に、選手達から直々に謝意をお伝えする場所である。
毎年、まず真っ先にJGTO会長と、選手会長がマイクを握るのが常だが今年は冒頭の挨拶が、賞金王の受賞スピーチをも兼ねるという異例のプログラムとなった。
シーズン最後の大ドンデン返しを演出したその夜。偉大な妹と、ささやかな祝宴を持った。
藍さんに「宮里家の誇りだよ」とこれ以上ない賛辞を「いただいた」と言い、「感無量です。お兄ちゃんも、これくらいは出来るんだよと見せられて良かった」と、このときばかりは浮かれまくった。
改めて、宮里家には激動のこの1年。
「今年は藍が引退しましたし、(長男の)聖志はシードを喪失した。宮里家の露出が減ってしまうという状況の中で、大黒柱として頑張ろうと思いました」と、次男の奮起がついにシーズン最後に、今季最大のドラマを作った。
そしてこの日は賞金ランキング賞と、最優秀選手賞と平均ストロークと平均パット、ゴルフ記者賞と5部門の表彰を受けた中でも賞金王が、特にこだわりを見せたのは平均パット賞。
「今までずっと、70位とか80位を行ったり来たりしていたのが1位となると、自分に対して自信になる」。
1ホール当たりのパット数1.7420での受賞には「数字的にはまだまだ。1.6に近いくらいに持って行きたい」と同部門での初戴冠はさらなる向上への欲にもつながる。
37歳。「この世界、一寸先は闇。すぐに足もとすくわれる。これでいいというのはほんとない。毎年、上手くなっていかないといけない」と、満足することなく「もうすぐ40歳に入って体力も落ちていくので、ショートゲームの磨きが必要となる。良い40代を迎えるために、30代のうちに頑張る必要なところ」と、むしろますます気も引き締まる。
今週発表の世界ランクは58位に浮上。同49位といよいよ目標のトップ50に食い込んだ小平は、ランク維持のために次週のアジアンツアー最終戦「インドネシアマスターズ」の出場を思案中だが宮里は、迷わず出発する予定だ。
小平と同様に、マスターズへの初切符を狙うが「50位が見えてきてもこれから先が、凄く難しい」と少しでもポイントを稼ぐために年明けには米ツアーの参戦もすでに決めるなど、余韻に浸る間もなく4月の開催ぎりぎりまで賞金王の挑戦は続く。
今季2期目の選手会長として、スタートを切った年頭には想像もつかなかった優作の慌ただしい年の瀬。
今年は選手会の新たな取り組みとして、ギャラリーのみなさんにも写真を撮って帰っていただけるようにと「フォトエリア」の設置や、プロアマ時の同一ティの使用に踏み切るなど自分のことはさておき、ただただ「ツアーをどうやって盛り上げて行こうか、と。主催者のみなさんにも無理ばかりをお願いした」と恐縮した、そんな4月のころが、もう数年前のことのように感じる。
「本当に色々あって、今年は凄く長く感じた。開幕したころにはこんなことになるとは思ってもいなかったのに」。
怒濤の1年を象徴する数々のトロフィ。
JGTO会長の青木功が隣で指をくわえて「いいなあ、俺たちの頃にはこんなのなかった。1個持ってっちゃうぞ!」。
宮里家には今季、世界のアオキもうらやむハッピーエンドだ。