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藍さん、兄はちばるよ〜。ラインで届く優作の大健闘(全英オープン3日目)

週末の聖地に残ったサムライ4人。風が止み、穏やかな表情を垣間見せたリンクスコースで、ムービングサタデーに臨んだ。
その中で、いち早く土曜日のカーヌスティに出ていったのはカットライン上からスタートした宮里優作。相変わらず「腰の状態を気にしながらのラウンド。油断するとヤバい」と3日目も、こわごわのショットは「かばっているせいなのか。今朝、スタンスがオープンになっているのが分かって」。
スタート前に、父親の優さんから指摘された微修正がハマった。
「左に乗れるようになって、上手くいった」とたちまち安定感が戻ると、2番で最初の長いバーディパットを契機に4、6、8番と猛チャージを開始した。

腰痛の懸念もあり「コースは狭いが、許容範囲をめちゃくちゃ広く取ることで、気持ち楽に打てている」。過度に自分に期待せず、心に余裕を持つことで、ボギーなしの6バーディで上がってきた。

因縁の最終ホールでは、1.5メートルのパーパットを沈めてガッツポーズも飛び出した。
前日、トリプルボギーを打った18番。
この日のティショットは小川を超えて、さらに右へ。
「ドライバーが捕まり気味だったので右を向いて。引っかかる球をと思ったのが、最後の最後に逆に出た。川に入らなくて良かった」。

再びひやりとした場面もラフからの2打目は「即決でした」。冷静に小川の手前に刻んでピンまで80ヤードを残すとそこからロブウェッジでピン左にぴたり。
この日は大ケガせずに済んだが「あそこはバーディ獲らないと、リベンジした気にならない。明日もう一回挑戦したい」。
いよいよ最終日には、あえて自分に課題を残して奮い立たせた。

薄氷の予選通過を果たした前日2日目。
スマホにたまりにたまった未読メールは「昨日だけで、200件を超えていた」。
宮里兄弟が共有するグループライン。
猛暑が続く日本で兄・聖志が夜を徹して弟の1打速報を書き込み、それにアメリカにいる藍さんが反応する。「他の誰からもメールは来てないんですけど。2人、スタンプ送りすぎやろ、て。僕は1個だけ。“ありがとう、がんばるわ”と返しておいた」。
全英オープンは4度目の挑戦にして、痛みを抱えながら初の予選通過を果たした次兄を、兄妹もかたずをのんで見守っている。

「出来るか、出来ないかという状況でも、ここまで持って来られたのは最高。腰が痛かったせいか、ボギーとかバーディとか関係なく、1打1打にフォーカスしてやれた」と、順位も65位から20位タイまで上げてきた。
「ここまで来たら、途中棄権なんて出来ない。なんとかかんとか18ホール回れるように。這いつくばってでもやりたい。明日も、良い状態で朝、出られるかが勝負ですね」。
残り1日、気力を振り絞る。

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