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三井住友VISA太平洋マスターズ 2019
連覇を狙う、額賀辰徳
昨年、5度目は史上最多の飛ばし屋日本一。豪快な飛距離を羨み、米の世界ランク1位に重ねて額賀をそう呼んだのは、ベテランの谷口徹。
”ぬっかー”と親しみをこめて呼ぶのは、先輩プロの孔明。
学生時代から、数々のタイトルを勝ち取り、06年のデビュー時からずば抜けた潜在能力は、いつも注目の的だった。
その額賀が昨年、ツアー初優勝。推薦で出場した今大会は3差3位で出た最終日に「66」をマーク。
待ちに待ったプロ13年目の逆転Vだった。
連覇がかかる今年は、9月からもどかしい2カ月間を経ての会場入りだ。
45インチのシャフトに対して、44.5インチ用のクラブヘッドが装着されていたことに気が付いたのは、つい先週の水曜日のことだという。
「バランスが全然違うドライバーを、知らずに2か月くらい、使っちゃってて」。
わずか0.5インチの誤差がプロには、大きな感覚のずれと迷いを生む。
「違うとわかっていればよかった。この感覚で、この重さで、と分かっていればよかったんですが、気づかずに使い続けて、ずっと悩み続けてしまった」。
代名詞の「ドライビングディスタンス」は現在平均303.33ヤードと、それでもさすがではあるが、ランキングは11位。
今季は、破格のチャン・キム(現在同1位)がツアー復帰するなどこの分野でも、次々と選手が台頭しており、昨年のドラコン王が今年は埋もれたかっこうだ。
「元々、自然と取れていたものだし、チャン・キムに勝とうとは思っていない」と、苦笑しながら「でも、数字的には良くないですよね…」と、この2カ月の1Wでの足踏みには悔しそう。
先週から、ようやくシャフトとヘッドのマッチングが合致したドライバーを手にして「2か月も思ったとおりに打てていないので、後遺症はあります。すべてがいきなりよくなるとは思っていないが、やっと気持ちよく打てるようになりました」と、深い悩みもひと息ついたところ。
大会は、昨年まで46回という長い歴史の中でも、連覇を達成したのは5人だけ。
今年は偉業がかかるが「連覇って…みんな狙ってやっているのかな?」と、35歳は思案顔だ。
「僕には”この大会だから”と緩急つけてやる余裕はないし、常に全力でやってきての結果。今週も、その中のひとつの試合であり狙ってやろうとかではなくて、いつもどおりにやっていくだけ」。
昨年覇者は気負わない。