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三井住友VISA太平洋マスターズ 2019
ウッズを倒した男。アジア唯一のメジャー覇者が首位に並ぶ
2年前に終了した改修で、7262ヤードのパー70に生まれ変わったタフなコースは、「力が入りすぎると、余計にうまくいかない。リズムを大切に」。
キャディカートを引く奥さんと、程よく肩の力を抜いてプレー。韓国のY・E・ヤンが通算6アンダーで正岡と並んで、昨年の中日クラウンズに次ぐ、ツアー通算6勝目をにらんだ。
プロ23年目。47歳のベテランを語る上で、外せないのが09年の全米プロ。
最終日最終組を、ウッズと回って逆転V。
”アジア唯一のメジャー覇者”という形容詞は、10年経ってもまだ、塗り替わることがない。
「あの日、実は練習ラウンドのつもりでプレーしたんです」と、当時を述懐。
「応援はウッズが99%」。
完全アウェイという不利な状況下で、「どうせ負けるのだから。勝とうと力を入れても無駄」と、ヤンが決め込んだのは普段着のゴルフだった。
「それでウッズにプレッシャーをかけられたのですからラッキーでしたね」と、懐かしむように微笑む。
そのウッズが今年、日本初開催の米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」で歴代最多の82勝に並ぶシーンは、ヤンも母国韓国で、テレビ観戦した。
「44歳の勝利。本当にすごかった」と、感動した中でもヤンが共感したのは年齢相応に、変化していたウッズのゴルフだったという。
「30代のころのウッズ選手は、もっと飛ばそうといった力の入ったスイングをしていたと思うが、今は体の状況に応じてリズム良く振っているように見える。だから、44歳でもまだまだ活躍できるのではないか」。
3つ下のレジェンドから今も参考になることは、たくさん。
「僕もまだまだ頑張りたい」。
ウッズが最終日の最終ホールを劇的なチップインイーグルで締めくくったのが、ここ御殿場で行われた01年のワールド杯。
伝説が残るコースで、かつてウッズを下した韓国の雄が頂上をにらむ。