記事

最後にトリも薄氷の決勝進出。宮里優作は「塩まいとかないと」(全英オープン2日目)

ティから向かってまず右方向からフェアウェイを横切る小川。バリーバーンと呼ばれるクリークは、蛇行して左サイドのOBゾーンに沿って流れ、グリーンの左手前から、再び横切ってくる。

カーヌスティの18番ホールは、屈指の難所として知られる。
宮里優作は、辛くも予選通過を果たしたが「ここで、バンデベルデがトリを打ったのが分かった」と、もう20年近くも前にここで起きた出来事が頭をよぎらずにはおれない。

99年に、フランスのジャン・バンデベルデが最終日を3打差で出ながら、たったこの1ホールで初優勝を手放した。一連のドラマは“カーヌスティの悲劇”とか“バンデベルデの悲劇”などと呼ばれて今なお語り継がれる。

魔のホールで宮里も、2日目にして悪夢を見た。
腰痛をこらえ、どうにか1アンダーで迎えた。
「スタンスを狭くしたり、いろいろやっていたが上がりの3ホールはショットがパラパラ。足が止まっていた」と、ついにこの最終ホールでティショットをOB。
「ダボでもいい」と気丈に打った暫定球は、どうにかフェアウェイに置いたがそこから今度はグリーンにへばりつくように口を開けたバンカーに打ち込んだ。

やにわにちらつくカットライン。
直角に切り立ったへり近くからのバンカーショットは「予選通過できればラッキー」と、開き直ってなんとかクリアし、2パットのトリプルボギー。
ギリギリ予選通過ラインの上に名を残したが「バーディ、イーグルがなければヤバかった」。
13、14番ともに10メートルを沈めた先の2ホールがなければ終わっていた。
「疲れた・・・。一生懸命にアドレナリン出して、燃え尽きました」。
腰の痛みをこらえてたどり着いた末の1日の締めは、まさかのトリプルボギーに嘆息した。

この日は日本最上位の池田勇太や、賞金1位の時松隆光も含めて、18番でダブルボギー以上を要した選手が15人もいた。
1オーバーで来た松山も、ここでトリプルボギーを打ってまさかの予選落ちを喫した。
「ヒデキ、ダメだったの? それは・・・ショック。世界ランキングトップクラスの選手でもそうなっちゃう。悔しいですね」と改めて、最終ホールの難しさに絶句した宮里。
「あそこは塩まいとかないと・・・」。
自身も苦痛を味わい戻ってきただけに、けっして冗談ばかりではなかった。

関連記事