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ディフェンディングチャンピオン、藤田寛之「この大会をきっかけに、選手としての自覚ができました」
昨年は、土曜日までの3日間、激しい雨、風、雷に見舞われた。ようやく、沖縄らし い陽がさした最終日も、特に海に面した断崖絶壁を伝うように続くサザンリンクスの フロント9は、大会本部が発表した風速9.2メートルという数字では、とても表しき れないほどの強風が吹きつけた。
難コンディションにスコアが伸び悩む中、出だしの3連続バーディで頭ひとつ抜け出 すと、そのあとはミスらしいミスもなく、そのままゴールに駆け込んで、「今日は、 今年1番のゴルフ」と、胸を張ったディフェンディングチャンピオン。
年が明けて、4月から開幕した2003年シーズンも好調をキープ。最終戦のゴルフ日本 シリーズJTカップでは最後まで優勝争いを演じて3位に食い込んだ。賞金ランクは自 己最高の7位につけた。
藤田が胸を張る。
「昨年の沖縄での優勝がターニングポイントになりました」。
特別、飛ぶわけでもない。巧妙なアプローチとパッティングでこつこつと稼ぎ、派手 ではないが、常に賞金シードは中ほどでキープしている・・・。
自分は、そういう選手が似合うと思っていた。だから、たとえば試合で優勝争いに絡 んでも、「勝ちに行きます」といった前向きなコメントは、どれほど胸のうちに秘め ていようとも、とても口に出して言える気がしなかった。「どこか引け目というか、 遠慮のようなものがあった」のだ。
しかし2003年シーズンにカウントされる昨年の今大会でツアー3勝目をあげてからと いうもの、そんな藤田の中で“意識改革”が起きた。
「3勝もしておきながら、いつまでもそんなことでいいのだろうか? それでファン の人は納得してくれるのか・・・ツアーを盛り上げていくためにも、自分ももっと もっ と前向きな姿勢を出していくべきなんじゃないか。そんなことを考えるようになったんです」。
「自分の親と同等の信頼を置く」という師匠の芹澤信雄のアドバイスが実り、「最近 では、自分のゴルフスタイルも徐々に確立されてきた」と自信も深まった。
そこに前向きな姿勢が加わって、今年もっとも飛躍を遂げた選手のひとりが藤田なのだ。
ずっと欲しかった“2003年”の勝ち星はぜひ、ここ沖縄での連覇で達成したい。