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「きっと泣いていたと思う」日本代表メンバーの心に残ったもの

アジアに4ポイントのリードを許して迎えた、この日最終日のシングルスマッチ。
「とにかく、僕らが攻めていくしかない展開の中で、気持ちが空回りしてしまったかもしれない…」(鈴木亨)
依然として日本チームのネックとなったのは、グリーン上。曲がり具合が読めない独特の芝目に、チャンスを生かしきれない。
「実力は互角。むしろ、向こうのほうがミスは多いしボギー、ダボも叩くかわりに、チャンスどころでとんでもないところから入れてバーディを取ってくる。明らかに、パッティングで差が出た」(桑原克典)
この日、奪ったポイントは、2.5(引き分け0.5)。
3日間トータル7.5ポイントは、9ポイント差。
惨敗の結果には「もう、ほんっとにほんっとに、勝ちたかったんだよ!!」(宮瀬博文)。
全員、顔を火照らせ悔しさを露わにした。

それでも、記念すべき第1回大会。その歴史的幕開けに参加した選手たちの心には、確かに、残るものがあった。
ベストを尽くした結果が、成績に結びつかないもどかしさ。
国を背負って戦うという重圧。
“アウェイコース”であからさまな野次に合い、煮え繰り返る思いも味わった。
日本のミスに、奇声をあげて喜ぶ大ギャラリー。
とんでもない方向にパットして、大笑いされたメンバーもいた。
「…でも、それが本当の意味で“戦う”ってこと。格闘技なんだね」(飯合肇)
その中で、日に日に互いの団結を強め、勝利に向かって心をひとつに、みな、全身全霊をあげて戦ったのだ。
「もちろん、勝たなければ意味はないんだけれど、それよりも、今回、出場できたことにはほんとうに大きな意味があった。国の名誉をかけて戦うということにとても感動したし、勝っていたら、きっともっと感動して…俺、きっと泣いていたと思うよ。結果はどうあれ、まずはそういう気持ちになれた自分が、なんかうれしかった」(桑原克典)

今回味わった悔しさは必ず、第2回大会で晴らす。
反省も後悔も、絶対に、持ち越さない。
出場選手全員に送られるダイナスティカップを胸に、次回の雪辱を誓うメンバーたちだった。

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