今年も選手会長が来てくれた。翌日にも4月の声が聞こえる今も、まだ雪がちらつく日もある長野県。3月31日に、はるばるとやってきたのは6つ上の先輩プロのため。
石川遼が、長野市にある練習場「72犀北ゴルフセンター」で行われた塚田陽亮(つかだようすけ)主催の「ジュニアゴルフ無料レッスン会」に今年も参加。
昨年も一緒に来た星野陸也に加えて、今年はあの伊澤利光を叔父に持つ期待の選手も連れてきた。伊澤秀憲(いざわひでのり)と3人がかりで、塚田のオフの恒例行事を手伝った。
定員40名の枠に、2倍の80人もの希望者が殺到し、早々に公募を締め切ったのも、昨年同様。
「シンプルで、わかりやすくて、今まで色んな人に教えてもらいましたけど、その中でも1番。石川プロは凄く明るく話しやすくて、教え方も上手で。ファンになってしまいました」(藤澤朋也さん、佐久長聖高校1年)と、今年も石川の一番人気は言うまでもなく、「塚田プロは、体が大きくて見た目は怖そうでしたけど上手いねって凄く褒めてくれた。面白くて優しい方だと思いました」(夏野香月さん、ルネサンス高校2年)と、そんな中でレッスン会の主催プロも“健闘”した。
「僕の子どものころは、長野にこういうイベントがなかった」と、塚田は振り返る。
「プロになったら自分が子ども時代に出来なかったことを、経験させてあげたいと思っていた」とそんな思いから、このレッスン会を始めたのは初シード入りを果たした2013年からである。
地道に活動を続けるうちに、塚田がラジオ番組で毎週レギュラー出演している「SBC信越放送」のサポートを受けるようになった。年々規模を拡大していよいよ、思い切って石川に講師のオファーを出したのは、5回目を迎えた昨年だった。
今年も「子どもたちにとって夢のような日になったのは、とても良かった」と、2年連続で快諾してくれた選手会長の心意気に感謝した。
「今日という日を一生の思い出として『今日は楽しかったなぁ』と子どもたちに言ってもらえるように」と、4プロによる熱血指導はたっぷり3時間にも及んだ。
「塚田プロの想いに、自分自身とても刺激を受けている」と、石川はいう。
「ゴルフの先輩である僕らが子どもたちに、何を伝えられるか?」。
上達の秘訣や的確なアドバイスもそうだが、「子どもたちと楽しい時間が過ごせれば、それが一番。思い出として、10年たっても記憶に残ってくれたら最高」と塚田の思いも存分に汲んで今年も子どもたちと、貴重な触れ合いの時間に心を尽くした。
「塚田プロのイベントは今回で6年目。6年前に10歳だった子が、今年で16歳。10年後には26歳。今後も、10年20年と続いて男女を問わず、日本のゴルフ界を引っ張っていくような選手がここ長野から、出てきてくれると嬉しいです」と2期目の選手会長は、6つ上の先輩の熱い思いをみごとに代弁していた。