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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2020
22歳の小斉平優和が最年少V記録に挑戦
「昨日は、ボールがフェアウェイになかった。終わって、ショットが良くなるまでやったら、今日はほとんどフェアウェイにあった。そこから、今日はグリーンを狙うことができました」。
2アンダーで折り返した後半。ショットがビタビタついた。
14番のバーディパットはわずかに30センチ。
17番のパー5は、7メートルのイーグルトライがカップをなめた。計7つのバーディで「64」を記録。通算8アンダーの首位タイで、大会をターンした。
「ずっと出たかった、憧れの試合です」。
今でも覚えているのは2013年大会だ。
宮里優作が、歓喜のツアー初Vで、18番グリーンに膝から崩れ落ちたシーン。
「テレビで見て感動しました」。まだ15歳の心に刻まれた。
「あんな風に、勝ちたいという思いがずっとあった」。
コロナ禍で、出場資格が変更された今年は、11月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で2日目に首位に立つなど、開催5試合中出場3試合で、2度のトップ10を果たして、初の出場切符を手にした。
憧れの東京よみうりは「めちゃくちゃ難しいけど、やっててめちゃくちゃ楽しい」。
今週、バッグを担ぐケビン脇坂さんは、「ゴルフも、普段の生活も、すべてにおいて単純明快な選手です」と、証言。
難コースにも小細工なしに、真っすぐと向き合う。
この日2日目は、大会唯一の3連覇の記録を持つ藤田と同組で回り、「パットが上手すぎて感動…」。
ベテランのスゴ技に口をあんぐり開けても、集中力は切れることがなかった。
今シーズンから米二部のコーンフェリーツアーに参加。日米を行ったり来たりと3度の隔離を経ながら、18試合をこなした。
感染を恐れて、プレー以外はほとんど外出もせず、ホテルに缶詰め。
「家に帰りたいな…という時が一杯あったけど、我慢して頑張りました」。心身共にたくましさを増したはず。
ゴルフが大好きで、いくら練習しても飽きることなく、試合に出れば、ほぼ毎日、一番最後にコースを出る練習の虫。
今年の海外遠征で、英会話の必要性を痛感してから、最近のBGMはもっぱら洋楽で、練習中もワイヤレスフォンをつけっぱなしにしている。
「来年2月から、またアメリカでプレーする予定です」。
今から着々と進める渡米準備の中に、3年シードの確保をセット。
「この試合で勝って行く」と、明快だ。
例年、強豪が集まるこのシーズン最終戦で、未シードの選手が勝った例はなく、また22歳が勝てば1981年の羽川豊氏の23歳を抜いて、大会史上最年少Vとなる(1973年のツアー制度施行後)。
「めちゃくちゃ勝ちたい」。
大記録がかかっても、無邪気そのものだ。