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中日クラウンズ 2019
俺たちももう過去の人?! 平成元年生まれの胸のうち
ちょうどこの日の国内男子ゴルフは「中日クラウンズ」の開幕前日のプロアマ戦。
複雑な心境で、令和最初の1日を過ごしたのがこちらのプロ2人。
ツアー2勝の藤本佳則と、プロ8年目の嘉数輝倫(かかずてるみち)は、どちらも″平成元年生まれ“が「平成」と「令和」のはざまで揺れていた。
藤本はあの昭和の大スター、ジャンボ尾崎を彷彿させる後ろ髪。「ちっちゃい時に、なぜか親が毎回ここを残して散髪した名残」だそうだ。一見、やんちゃな風貌は「俺が元号に、こだわるタイプに見える?」と、いたずらな笑みも「平成という字がなくなってしまったのはそりゃ寂しい」。
嘉数は「俺たちも、もう過去の人」。
平成時は、たとえ数日でも昭和にかぶっている人には「昔の人だな」。
元年生まれとして、ひそかにそんな優越感もあったが来る令和の時代は「今度はそう言って、僕らがイジられるようになるんかな…。もうオジサンですね」。急に老け込んだ気持ちになるのも、ある意味せつないひとつの新元号マジックか。
新時代の幕開けに、ワクワクする気持ちも2人にとって例外ではない。
昨年は平成最後のシーズンに、晴れて滑り込みの初シード入りを果たしたのが嘉数だ。
「間に合った!!」と、大きな課題を次の時代に持ち越さずに済んで、令和最初の試合で気合が入る。
「何事も一番はいい」と″平成元年生まれ″も嘉数の誇り。
「平成最後というより、令和最初がいいに決まってます」と、今年60回を迎える歴史の伝統のこの中日クラウンズでは、遠慮もなく初優勝を狙っていくつもり。
「俺は、…ダメかな」と藤本が弱気なのは先週金曜日(4月26日)に筋トレ中に発症したという腰痛のせい。
そのためこの日のプロアマ戦は、途中で大学の先輩の正岡竜二に″代打″は頼んだが、最後までゲストへのおもてなしはやめなかった。
「以前の僕ならあきらめてすぐ帰ったレベル」と状態は深刻だがそれでプロアマ戦を棄権して、コースを引き上げたら規程により本戦にも出られない。
「かなりきついけど明日までに治療して、思い切り振れなくてもなんとかして頑張って、あきらめないで試合には出たいと思った」。
そんな「オトナ」(藤本)な心境の変化は、「やっぱりね、令和最初の試合は外したくないから」。
元号は気にしないとうそぶく平成男の本音さえもゆさぶる新時代の幕開けである。