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〜全英への道〜ミズノオープン 2021

クラブわずか11本で「65」。パグンサンがセルフプレーの独り旅

フィリピンから来たベテランが、正真正銘の独り旅を開始した。
43歳のジュビック・パグンサンが3日目、強風の第2ラウンドで、ボギーなしの「65」。

7バーディを奪って戻り「今日は完璧なゴルフができた」。
2位と大差で、短縮競技の最終ラウンドへ向かう。

キャディバッグを背中に担いで回るセルフプレーは今年3度目。
電動カートもレンタルできるが、「あれだと、グリーンをぐるっと遠回りしなくちゃいけないのがめんどくて。僕にはこっちのほうが楽なのさ」。

バッグの軽量化を狙い、3番、4番、6番、8番…と、なんとアイアンを4本も抜いてプレー。
代わりに、19度のユーティリティを投入するが、それでも14本まで携行が許されているゴルフでは、ありえない少なさ。

「…歳もとってきたからね。軽くていいよ!」と、わずか11本のクラブを駆使して、スコアを作る。

「どうしても6番が欲しいときにはどうするかって? それは…他の番手で調整するさ。今日は11番でも残り160ydで向かい風だったけど、5番を使った。だってないんだもん、しょうがない」と、ハーフショットやふり幅の強弱で距離を出したり減らしたりと、自在なテクニックを見せて「選択肢が少ないから、選ぶ手間も省けてプレーも楽さ」。

心身ともに軽やかに、風が増すほどバーディ量産。追い風の14番ではピン60センチにつけるなど、上り5ホールで4つも稼いで「文句なしのゴルフができた」。

同組の塩見好輝(しおみ・こうき)は、「番手が余っているのにそこもカバーして、凄いスコアを出してきた」と、絶句。
「本当に上手い」と、絶賛を浴びて「ありがとう!!」。
真っ白な歯を見せた。

都市封鎖のマニラから抜け出して、2か月が過ぎた。
故郷に残してきた妻と、2人の子どもに毎夜、テレビ電話で伝えるのは「とにかく無事でいてくれということです」。
3月のピーク時から感染数は減ったとはいえ、安否を気遣う気持ちは軽減しない。
「フィリピンに帰れば、日本に来た時と一緒です」。
母国でも、2週間の隔離があるから、帰国のタイミングも難しい。

「状況次第だけれど。今年はひょっとしたら12月まで帰れない」。
これからまだまだ、離れ離れの独り旅。

父と叔父もプロゴルファーというゴルフ一家に生まれて2006年に28歳でプロ転向した。
2012年から本格参戦した日本では、今年5月の「アジアパシフィック ダイヤモンドカップ」で、通算7度目の2位につけたが、優勝はまだ。

もっとも近づいたのが2012年。沖縄県で行われた「日本オープン」は、台風並みの強風下で上りの連続ボギーを叩いて惜敗している。
今大会の上位2人なら、自身8年ぶり3度目となる全英オープンの出場権もあるが、ここまで来て勝って行かない手はない。

「明日もいいショットをたくさん打って、最後まで集中すること。あとは、パットが入れば可能性はある」。
故郷の家族も応援している。

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