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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2019

360日サウナ! 堀川未来夢を支えるゴルフメモ

こんな夜こそ、趣味のサウナが芯までしみる。3日目の気温は5.6℃。かじかむ手でコースメモに何やらしきりに書きこんでいる。
データを拾い集めて極寒のコース攻略につとめる。

プロ5年目の26歳、堀川未来夢が、4バーディ、2ボギーの「68」で回って通算2アンダーは、首位と4打差の11位タイ。今季のラストゲームで初Vを達成した6月の「日本ゴルフツアー選手権」に次ぐ、日本タイトルでの2勝目に賭ける。

こんな寒い日は、プロでも飛距離が落ちる。「着込んでいるのもあり、普段のアイアンショットの距離感がまるっきり違って。9Iで150ヤード飛ぶところが、130ヤードしか、飛ばなかったり」。

感覚と、実際の距離のギャップが、ミスを呼ぶ。
それを埋めるための作業はち密にして、綿密。
堀川は「1番ホールから、ファーストバウンドのホールも歩測して、アイアンの距離と番手を自分でメモしていった」という。

「自分の中では140ヤード打っているつもりでも、130ヤードしか飛んでいないということも、意外とある。そのギャップを少しずつ合わせていって、最後の方にはだんだんと距離があってくる感じ」。
そうやって蓄積していったデータを、次の1打に生かしていく。

学生時代は、書き込んでも「ピンの位置くらいだった」。
だが、15年から飛び込んだプロの世界で、それでは通用しない。
今年のラストゲームを引き受けてくれた百戦錬磨の清水重憲キャディも「打つ前の情報量が、一つでも多いほうが良い結果につながるという考え方。練習ラウンドからこういうメモ書きが必要だ、と」。
元々、グリーン上から始まったという取り組みは、やがてショットにも及び、本戦に入っても、2人ですり合わせをしながら実際のラウンドで得た情報を、どんどん書き足していく。
「だから僕のメモはぐちゃぐちゃ。人には見せられません」と、大きな口で笑った。

かじかむ寒さの中で、コチコチに凝り固まった体と頭をじんわりとほぐしてくれるのが、「360日通い詰める」という趣味のサウナだ。
連戦中の宿は必ず温泉付きか、近くにスーパー銭湯があるところを予約。
夜は必ず出かけていって「最初は10分から11分、12分の3セット」。各回の間には冷たい水風呂へサブン。
「これがぬるいサウナはダメ」。
その点、今週のいきつけ、都内新宿の「テルマー湯」は「理想的」という。
「熟睡できるし、僕はトレーナーをつけていないので。疲労回復が圧倒的」と、こんな寒い日にこそぬくもりと元気をチャージ。引き続き、冷え込む最終日の準備を整えてくる。

ちなみに小平と石川、黄(ハン)によるプレーオフ進出を逃した昨年大会。3パットのダブルボギーを叩いた堀川の最終18番のパー3は忘れもしない。
「ファーストパットは2.5メートルで、セカンドパットは4メートルくらいでした」。
雪辱を晴らすデータもしっかり、頭にある。

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