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<今週の注目選手>大会初日に35歳の誕生日を迎える2001年大会チャンピオン、手嶋多一がひそかに狙っ ているもの

2001年大会最終日は、乱れたショットを、アプローチ、パットでしのぎまくっ て公式戦初Vをつかみとった手嶋。「本当に、僕が勝っていいんでしょうか」と謙虚 なコメントで会場の笑いを誘った。
先週のジョージア東海クラシック、2日目に手嶋が青い顔をして言った。
「やっぱり人間、休むことも大事です・・・」。
ハードスケジュールが続いている。
3週前、茨城県のアコムインターナショナルに出場したあと、その足で成田空港に向 かい、渡米。その 週終了時点の賞金ランク上位3位の資格で、翌週の世界ゴルフ選手権NECインビテー ショナルに参戦した 。
この大会は予選落ちもなく、4日間を戦い終えてとんぼ返りで帰国すると、再びその 足で本番前の水曜 日に名古屋入り。ぶっつけ本番でジョージア東海クラシックに出場したのだった。
「さすがに、時差ボケと疲れでげっそりですわ」と、ホールアウト後は、肩で息をし ていたものだ。 これほど行ったり来たりが続く場合は、たいてい大事をとって、渡米前後の試合を キャンセルする選 手が多い。しかし、今回はそういう手続きを取らなかった。
「だって失礼じゃないですか」と手嶋。
「アコムも、東海も、一度はエントリーしている試合です。それを海外に行くからっ て、いきなり欠場 するなんて主催者さんに対してちょっとなあ・・・と思ったんです。それにね実は最 初 はそれほど大変で もないかなって思っていたんですよ。僕はどこでも寝られるタイプだし、飛行機の中 でいっぱい寝れば 大丈夫かなあ、って」と、ひととおり表向きの理由を話した手嶋だったが、実はその ほかにももうひと つ狙いがあった。
自身初の、賞金王への挑戦だ。
現在、賞金ランク2位。まだトーナメントも今年7試合を残している段階で、これほ ど上位につけてい るのは、過去、ほとんど経験したことがなかった。
「・・・もちろん、何が何でも賞金王、とは思っていませんよ。僕って、もともとそ う やって入れ込むタ イプじゃないですしね(笑)」
としながらも、
「めったにないチャンス。・・・というか、こんなチャンス、僕には二度とないかも し れないでしょう( 笑)。だからね、一応は頭に入れて残り試合を頑張ってみようかな、と」
超過密スケジュールも、そんな思いの表れだった。
「・・・でも、甘かったね。やっぱり、34歳の肉体には堪えます」と苦笑い。
さらに今週、大会初日には35回目の誕生日を迎えて、ひとつ年を重ねる2001年大会の チャンピオン。「 難しいセッティングの中、ほかの選手が伸び悩んでいるスキをつくのが得意」という 手嶋。本番までに 疲れを吹き飛ばし、この大舞台に2度目の名前を刻むことができるだろうか。

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