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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2020
石川も喝采。史上初ルーキー連勝がかかる。金谷拓実の「ザ・ゴルフ」
「おーーーっ! ゲキうまっ」。
回りがシン……と静かだからよけいによく響いた。
10番で、同組の金谷の超絶なリカバリーショットを讃える石川の声だった。
崖下からの3打目。低い球で、左の土手にぶつけてワンクッションで、2メートルに乗っけてパーセーブ。
さらに続く11番では、長いボギーパットを沈めてケガを最小限にとどめた。
12番では、右手前の花道からチップインバーディを奪うなど、隣の石川をうならせ続けた。
気温6℃にとどまった3日目。降り続く雨が、さらに体感気温を下げていく。
「いつくじけても、おかしくないラウンドだった」。
ショットが、思うままにならない。
後半につれて、飛距離も出ない。
「自分に怒ってました。なんで、真っすぐ打てないんだ、と」。
散らばるショットを支えたのは日ごろから、練習に練習を重ねているアプローチとパッティング。
「ショートゲームでカバーができた」。
それでも16番で、寄せに失敗した際には一瞬、カッとしかけたが、自分への怒りを瞬時にこらえた。
「スコアは、どうしようもできないので次の状況でベスト尽くすこと。1打にベストを尽くすことです」。
金谷と、2日目から続けて同組で回った石川は、米のパットの名手を引き合いに「例えるならジョーダン・スピースがわかりやすい。感覚でプレーするのがうまいし、イマジネーションとメンタリティが非常に長けている選手。特に、メンタリティは素晴らしい。一緒に回っていて楽しい。大好きな選手です 」。
先月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で3日目に回った片山も、金谷のプレーを「”ザ・ゴルフ”」と評して「大好き」と言った。
無観客の今年最終戦は寂しいけれど、同僚の先輩が浴びせる歓声や賞賛は、それにも匹敵する喜びだ。
難条件で、制御のきかない試練もぐっとこらえて首位とは2打差の3位タイに残った。
プロ初Vを飾った2週前の「ダンロップフェニックス」に続いて、ツアー史上初のルーキー連勝もにらめる好位置。
「このコースは難しい。粘り強く、ずっと我慢し続けることが大事と、キャディさんにも言われた。それを残り1日もやり続けようと思います」。
最終日こそ、先輩プロの賞賛を独り占めする。