記事

2020新顔シリーズ / 植竹勇太「先輩は憧れの金メダリスト」

先輩は金メダリスト©JGTOimages
国内男子ゴルフは8月いっぱいまで中止が続く。東京五輪も延期。2020年を飛躍の年とするはずだった若手も力を持て余している。そんな折、「JGTO共催ゴルフパートナーエキシビショントーナメント」が7月9日、10日の実施に踏み切った。

大会では、若い力の健闘が目立った。
久々の実戦で、ツアー再開を願う思いを存分にぶつけた。

コース新の大量アンダーで優勝した関藤直熙(せきとうなおき)は22歳。1打差2位には24歳の和田章太郎がつけるなど、今季の初レギュラーを目指す選手たちが上位を占めた。

23歳の植竹勇太(うえたけゆうた)は3位タイに入った。最終日は、勝者の関藤と同組で回った。ドライバーとアイアンショットの精度には、植竹にも自信がある。でも関藤には5差をつけられ「彼はアプローチとパターが抜群に上手かった。僕には足りない部分。その差が出た」と、ひとつ年下の圧勝を讃えた。

「いい刺激をもらえた。今後の課題ができた」と、10日金曜日の大会終了後はさっそくその足で広島へ。7月末に、広島カンツリー倶楽部八本松コースで行われる「日本オープン」の地区予選の下見を兼ねて、大学同期の佐藤太地(だいち)と”ゴルフ行脚”に出かけた。
密を避けつつ日、月、火曜日と県下のコースで点々と復習を重ねて、15日の水曜日に帰郷した。

北海道の幕別町出身。
隣校区の1学年上にはスピードスケートの金メダリストで世界記録保持者の高木美帆さんがいて、小学時代はサッカー少年団「札内(さつない)北FC」のチームメイトだった。

「とても親切な先輩で、足がめちゃくちゃ速かったことを覚えています」。
今や最速女王の背中を懸命に追いかけた思い出は、今も忘れない。

平昌(18年)でのメダルラッシュは、植竹にも誇らしかった。
「本当にすごいことだと思うし、身近な人からメダリストが出たことで、僕もオリンピックへの憧れが増した」と、代表入りを夢見る。

植竹自身もスピードスケートほか、スキーにスノボ、冬スポーツならなんでも来いで鍛えに鍛えた万能少年が、4歳から遊びで始めたゴルフに本気で目覚めたのは、小4のスクール入塾時。
帯広柏葉高2年時には「北海道ジュニア」で優勝。宮城の名門・東北福祉大時には「北海道アマ」で勝つなど、自信を深めてプロ入りを決意した。

転向2年目の昨年から、セガサミーホールディングスのサポートを受けるが、今年は同社主催で地元開催の「セガサミーカップ(8月20ー23日、北海道ザ・ノースカントリーゴルフクラブ)」の中止も決まった。

本格参戦の今季は「ツアー1勝」を目指して頑張るつもりだったがコロナ禍で、国内開幕から日程は止まったまま。
「なかなか試合が始められないのはとても残念ですが、感染のリスクがあるうちは仕方のないこと。今のうちに、自分に足りない部分を補い、再開に備えたい」と、前を向く。

身長163センチはスポーツ選手としては小柄だが、史上もっとも小さな勝者として昨季ツアー初優勝を飾った大学同期の比嘉一貴(ひがかずき)は、158センチ。V会見では「小さくてもやれるということを証明したい」と、堂々と言った。このオフは、一緒に合宿を重ねた良きライバルから受ける刺激は小さくない。
「今は僕の一番の目標であり、お手本です。まずは、一貴に追いつけるよう頑張りたい」。
尊敬できる仲間の存在が原動力。ジュニア期からチームメイトに恵まれている。

※活躍の時を待ちわびる若手選手にスポットをあてる「2020新顔シリーズ」。随時更新していきます。
  • 最終日に同組で回った関藤(右)。自宅待機の間に、5差を埋めたい!!©JGTOimages

関連記事