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「ギャラリーは活力」堀川未来夢の確信
年始から、積極的に海外に足を伸ばしてきたからこそなお大きなギャップ。
「ぽっかり仕事を無くして、職場を失ったようで。どう過ごしていけばいいのか」。
そんな窮地にこそ根っからのプラス思考がものをいう。
「空いた時間にこそ、ほかの選手と差をつけるチャンス」。
自宅待機を最大限に生かして過ごした。
「部屋で自重トレーニングをやったり、パットの練習に時間を割いたり。いつ始まっても良いように。去年末から続いてきた好調の維持につとめた」。
やっと日頃の成果を見せるチャンスに感謝。
「2日間のエキシビションという形ですけど、勇気を振り絞って試合をやってくださる。リスクがある中で、最大限の対策をしながら開催してくださった」。
約5か月ぶりの実戦で、ため込んできた思いを一気に放出する初日の「62」。前半3番からの3連続と、7番からの5連続バーディであっという間にトップに立った。
久々の達成感と、やるせない喪失感も少し。
「海外の選手がいない」。
新型コロナウィルスの影響で、渡航制限がかかったまま。海外にいる選手はやっぱり一人も出場できなかった。
「チームJGTOで出来なかったことは、とても残念」。
いつも「頼りきり」のキャディさんもいない。
ただでさえ心細いセルフプレーに、この日はけっこうな雨量だった。
「風向きとか距離とかライン読み」。
それに加えて、ボール拭きやバンカーならし。旗竿の抜き差しなど「全部自分でやるのは本当に大変」。
もちろん、それ以上に堀川が痛感したのは「キャディさんがいてくれることの精神的な安心感。本当にありがたいんだ、と」。
昨年のツアー初Vを支えてくれた清水重憲さんは、つい先月開幕した女子ツアーで、女王の愛さんをアシスト。2位には敗れたが、プレーオフにもつれた。
「やっぱり、ノリさんはスゴい。すぐに”ナイスキャディ”とラインしました」。
堀川も、今シーズン後半戦で数試合を担いでもらう約束だったが、実現するかは不透明だ。
「早く、一緒に戦いたい」。
そして、何よりギャラリーのみなさんの存在だ。
好プレーをしたからこそ、痛感する。
せっかくいいゴルフをしても、今回は見ていただける人がいない。
「僕らにとって、ギャラリーのみなさんは本当に活力なんだ、と」。
コロナ禍で、思い知らされた存在のありがたさ。
翌10日の最終日もせめてインターネットの生中継を通して、その思いを届けたい。