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2020新顔シリーズ / ガブリエレ・デバルバ「ガブちゃんはネイティブ関西人」
「特に、関東圏に行ったら隠しているつもりなんですけど、隠れていないみたいで…」。
父親はイタリア人で、母親が日本人。
180センチのすらっと長身に、ハーフな顔立ちは、さらっとさわやか。
「その見た目で関西弁はやめてくれ、と友人にはよく言われますけど」。
兵庫県の西宮市で生まれて育った、生粋の関西人。
懇切丁寧な”生い立ち譚”は標準語でも、無意識に出てしまう独特のイントネーションは、確かに隠しきれていない。
国籍はイタリア。でも「旅行で行ったことがあるくらいで、イタリア語は喋れません。期待外れでスミマセン…」。
これまでもう、何度聞かれたか知れない質問にも律儀に頭を下げた。
多くの感染者を出した母国には親戚が暮らすが、たびたび安否を確認して「誰もかかっていなくてよかった」と、胸をなでおろす。
母方の祖母の影響で、7歳からゴルフを始めた。
神戸大学付属住吉小時代に「関西小学生選手権」などで優勝。「そのころからぼんやりと『僕はゴルフで生きていくんだろう』と」。関西学院高等部2年の2012年に「関西アマ」を制して、次の進路を思案。
小、中、高…と関西の名門校を渡り歩いてきたエリートは、同志社大学への編入学を決めたが、関西には難関私立4大学を示す「関関同立(かんかんどうりつ)」という通称があり、「関」のひとつは、デバルバが高等部を過ごした関西学院の「関」で「同」が、新入学した同志社。どちらも一貫校であり、わざわざ「関関同立」間で、別大学を受験しなおす例は珍しいともいわれる。
異例の進学理由は、将来を見据えてのこと。
「同志社大学のスポーツ健康科学部で学びたかったんです。トレーニング法や、スポーツ心理学など、実際に今でも役立つ勉強ができましたし、ゴルフ部の練習環境も、とても良かったです」。
先輩にも恵まれた。
卒業後は、大学コーチでツアー7勝のベテラン、水巻善典が所属する名門「鳴尾ゴルフ倶楽部(兵庫県川西市)」に入社。プロ転向3年目の今も水巻の指導のもと「試合勘の持続」を課題に、ツアー再開にじっと備える。
つい先日は、大学OBの谷口徹にラウンド練習に誘われ「小技の引き出しがもの凄い。すごく勉強になりました」と試合ができない間も、豪華先輩陣のおかげで鍛錬には事欠かない。
日本で生まれ育ちながら日本名は持たず、幼少期から今の名前で過ごしてきた。
「イタリアと日本と、血は半分ずつ入っていて、見た目もあり、よくも悪くも注目されて、そっとして欲しいと思ったり、やりにくさを感じたこともありましたけど、僕は良い学校や、先生にも恵まれました」と、のびのびと成長した。
いまだ入国制限が解けないいま、今月9日、10日に行われた「JGTO共催ゴルフパートナーエキシビショントーナメント」では、唯一の外国籍選手となったが「僕としては、外国選手という意識はなく、日本ツアーのメンバーの一人として、早く試合が始まって欲しいと願うだけです」。
目下目標は、1試合でも多く経験を積んで、まずはファンに名前を覚えてもらうこと。
英表記は「Gabriele DE BARBA」。
「名字の『DE』と『BARBA』の間にはスペースが入ります。でも、カタカナで書く時は『デバルバ』と詰めてもらって大丈夫です。名前の『ガブリエレ』はイタリア読み。友達には『ガブ』とか『ガブちゃん』と呼ばれます」。
これまた懇切丁寧な”名前譚”の際にも、関西なまりがちらほらと。
ちなみに、かの”聖地”の地元で生まれ育つが虎ファン、ではない。
「あんまり、どこの贔屓とかはないですが、強いていうなら巨人ファンです、笑」……て、なんでやね〜〜〜ん。