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アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ ダイヤモンドカップゴルフ 2019
50歳の手嶋多一が一番若い1日
初日を69で上がった手嶋多一。
飛ばしあいは無理でも難条件のここ総武は、「飛距離が意味をなさないコース。いろいろ考えながら、手前から攻めたりとか。僕は固くて速いグリーンも好きなので」。
向かって右に折れていくホールが多いコースで、「ラフに突き抜けないように」と1打目に、3Wを多用するなど頭を使うゴルフなら得意。
プロ27年ならではのゴルフで好発進した。
4月のシニアツアーの開幕戦「金秀シニア 沖縄オープン」で、デビュー戦Vを飾った。その翌週、すぐに「東建ホームメイトカップ」で、今度はレギュラーツアーの国内開幕戦。
「こっちでも行けるかな、とうぬぼれた」。
ベテランの甘い期待は、すぐ打ち砕かれた。
初日に回った米のウォン・ジョン・リーと、大堀裕次郎は屈指の飛ばし屋。
「自分のドライバーと、彼らの2番アイアンが変わらない。現実を見せられた」。
若い2人に挟まれ萎縮した。春からさっそく予選落ちを喫した。
「泣きそうでした」と落ち込んだが一転、今週初日は肩に力も入らぬ"シニア対決"。
この日、同組で回った53歳のマークセンは昨年、シニアで3年連続賞金王の飛ばし屋。谷口徹は昨年、日本プロで最年長V20を達成した偉大な51歳だが、2人の大先輩をスコアで凌駕。
「マークセンは今日、8番で330ヤードも飛ばした。下手したら、自分は40ヤードも置いていかれる」とそこは嘆きながらも打数では1打、上回った50歳。
この日ばかりはレギュラーツアーで"若さ"を誇った。
来季、マークセンがシニア1本で行くとラウンド中に言うので「なんで?」と聞いたら「俺の飛距離でレギュラー無理だ」。
答えを聞くなり隣の谷口と顔を見合わせどっちらけ。
「それなら俺らはどうしたらええのや!?」。
タフな条件でも笑いの絶えない1日だった。
先週の中日クラウンズでは予選ラウンドで回った宮本勝昌が優勝。
「初日に手嶋さんのゴルフを見て自信がついた」と、礼を言われて「ふざけるな〜」と、小さな抵抗。
小4になる長男・泰斗(たいと)くんに最近、よく言われるのが「千鳥のノブさんに似ている!」。
年上・下かかわらず、誰にも慕われるウィットに富んだ語り口は風貌以上に、いま大人気のお笑い芸人そっくり。
"ルーキー"のシニアツアーも初参戦するなりたちまち先輩方に、やいやい囲まれ「頭下げまくってます」。
来週末には、アメリカに旅立つ。
「全米プロシニア(米NYオークヒルズCC、5月23‐26日)」でいよいよ米シニアのデビュー戦。
「マークセンも、谷口さんも一緒に行きます。向こうでも、すごいメンツが揃うので楽しみ」。
こちらもまた珍道中になりそうだ。