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「戦う者にしか、通じない言葉」最終日、青木の言葉に発奮。念願の1勝をあげた桑原克典

タイ出身のタワン・ウィラチャンとシングルスで戦った最終日。
17番で、逆転1アップに成功した桑原克典に、キャプテン青木のゲキが飛んだ。
「よ〜し桑原! もうひとつ取れ!」
この言葉が桑原の闘争心に、思いのほか深く届いたという。

「他の人ならここで、“もうひとつ取れ”なんて、きっと言わないと思うんですよ。逆にプレッシャーをかけないように、“安全にいけよ”とかそういう無難な言葉になっていたと思う。でも、青木さんはそうじゃなくて“相手がバーディでもボギーでも、とにかくおまえがもうひとつ取って上がってこい”と言った。そういう気持ちで最後まで戦え、と教えてくれたんです。
…もちろん青木さんは、別に計算してそう言ったわけじゃなくて、自然とその言葉が出たんだと思う。そこには、“俺ならばそういう気持ちで戦うぞ”という意味もこもっていた。それを僕は感じた。だから余計に燃えた。それは、戦う者同士にしか通じない言葉でした」(桑原)

第2打。グリーンを外したライバルに対し、桑原は、残り160ヤードのフェアウェー左サイドからピンだけを見据え、8アイアンで会心のショットを放ち、左4メートルを捉えた。
それを見たウィラチャンはアプローチに失敗し、桑原の2アップ。青木のゲキに応えた。

「残念ながら今回チームは負けてしまったけれど、もし勝っていたら、俺、泣いちゃうと思うよ」と、18番グリーンサイドで桑原は言った。
会場入りした当初は、面倒な3度の入国審査や、現地の水事情、解読不能なグリーンの状態など、マイナス材料に気が滅入った。
しかし日を追うごとにメンバー同士の団結は強まり、国の名誉を背負って戦うことの本当の意味を理解するようになり、ひとつの目標に向かってチーム一丸となって戦う爽快感を味わった。
「…俺いま、すっごく感動してる。一生懸命やった結果がうまく出せないことにはほんと参ったけれど、そのおかげで、日本チームに足りないものがわかったわけだし、実力では、負けているわけじゃない。結果以上に、大切なものをたくさん手に入れた気がしています」

「今回経験したすべてが次回の課題」と桑原。
2年後の大会を早くも心待ちにしている。

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