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聖火ランナーの永野竜太郎「みんな大変な中、東京にきて闘ってくれる」全オリンピアンに敬意と感謝
開会式では大会3連覇の野村忠宏さんと吉田沙保里さんから、長嶋茂雄さん、王貞治さん、松井秀喜さん、医療従事者の方々、パラリンピアンの土田和歌子さんと、東北三県の子どもたちから最終走者の大坂なおみさんへと託された感動のトーチリレー。
プロ13年目の永野竜太郎も、自宅のテレビでその瞬間を見届けた。
2016年の熊本地震で、もっとも被害が大きかった益城町(ましきまち)の出身。
5月に、町内で行われた聖火リレーのランナーをつとめた。
「被災地の人間として、復興五輪を掲げる大会の聖火リレーに参加させていただけたのは、とても光栄なこと。身の引き締まる思いでした」。
リレー2日目の第一走者としてトーチを掲げ、約150メートルを駆けた。
「たくさんのみなさんから声援をいただいて、とても楽しく走りきることができました」。
自分もつないだあの炎が、ついに国立競技場に到達した。
「1年延期になったり、オリンピックに賛成の方、反対の方もいらっしゃったり、いろいろありながらも開催が実現したことは、いちアスリートとして、本当に良かったと思います」と、感慨深い。
先週の「全英オープン」で、初メジャーに挑戦したばかり。
結果は、1打足りずに予選落ちだった。
「それが今の自分の現実と受け止めつつ、世界のトップクラスばかりの中で、そこまで悲観的というか、劣等感というのは感じなかった。現地に行って、いろんな選手を見て、今まで自分がやってきたことへの確認ができたのは本当に良かった。自信になった」。
それだけに、五輪が無観客での開催となってしまったのは残念だ。
「コロナで大変なので、仕方がないのですが、あれだけの選手が集まる中で、特にこれからゴルフを目指す子たちにも世界の凄さを生で見て、肌で感じてもらいたかった」と、嘆く。
「でも、舞台が日本で、しかもジュニアの子たちも回る機会が多い霞ヶ関なので。映像でしっかりと見届けて欲しい」とその分、余計にテレビ観戦を強く勧める。
「スーパープレーは絶対出る。実際に自分でプレーをするときに、”あの時、あの選手のショットはあのホールのあそこまで飛んだよね”とか。テレビを思い返しながら回ると、凄くモチベーションが上がると思うし、必ず今後に役立つはず」と、力説する。
29日から始まる男子ゴルフの開催期間はまだ、イギリスから帰国後の隔離の真っただ中。
「松山選手と星野選手を応援するのはもちろん、ジョン・ラーム選手とか…やっぱり、世界1位には注目します」などと、永野自身もかじりつきのテレビ観戦を楽しみにしている。
「4年に一度しかない舞台が1年も延びたことで、どの選手もここまでコンディションや、モチベーションの維持が、本当に大変だったと思う。そんな中、みんな東京に来て闘ってくれる」と、全オリンピアンに敬意と感謝を表して、「本番では思う存分パフォーマンスを発揮して、世界中に勇気や元気を与えてくれれば」と、心をこめた。
永野もつないだ炎は17日間、東京で燃え続ける。