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表彰台にはいなくても。「ありがとう…!」男子ゴルフから松山と星野に感謝と労い(東京2020)8月1日
スロバキアの45歳、ロリー・サバティーニが銀。
台湾のC・T・パンが銅という結果に終わった。
松山英樹は7人のプレーオフによる銅メダル争いに敗れた。
「結果がすべて。メダルが獲れなかった以上は何の評価もない」と敗戦のコメントを残したが、ホームで日本中のゴルフファンに夢を見せてくれたことは間違いない。
序盤になかなかチャンスが決まらず、一時は首位に5打差と苦戦した。
それでも、12番でピンそばにつけて連続バーディ。
右のラフから2オンに成功した14番で再び1差に迫った。
スタミナが消耗する後半の猛追で、金メダルの可能性さえ見せてくれたのである。
しかし、15番で左のカラーから”3パット”のボギーを叩くと16、17番で立て続けに絶好のチャンスを外した。
最終ホールを前に首位と2打差がついた。
天を仰いで小さな溜め息を吐いた松山は、「17番が終わった時点で現実的にはない、と思った」という。
金の望みは消えても「最後バーディ決めれば銅」と、メダルに挑み続けた。「そこを決めきれない。悔しさしか残らない」と、吐き出したが、新型コロナウィルス感染からの復帰初戦を東京五輪で戦う日本のエースをJGTOの選手たちも、手に汗を握りながら見守っていた。
ジャパンゴルフツアー選手会会長の時松隆光は、この日は所用の外出先で何度もスコア速報を確認。
「7人ものプレーオフにも驚きましたが、その顔ぶれもまた凄かった。体調が万全ではない中、そこで弱音も吐かず、互角に戦い合う松山さんの体力、技術と精神力には尊敬しかありません」と、驚嘆した。
松山の大学先輩たちも、後輩に賛辞と労いを送った。
「調整も難しい中、素晴らしいプレーでメジャーチャンピオンの姿を日本中に見せてくれたことは本当に良かった」と、東北福祉大出身の谷原秀人。
松山と12歳上の宮里優作も「コンディションの悪い中、良く戦ってくれたと思います。日本代表として、存在感溢れるプレーでした」と、讃えた。
7学年上の池田勇太は、自身も2016年のリオ五輪で代表をつとめている。「国を背負って戦う重圧を、私も知っています」と、とてつもないプレッシャーと戦った後輩の心情を察し、「このあとの試合でもしっかりと体調を戻して、また素晴らしいパフォーマンスを発揮することを祈っています」と、松山のその後を気遣った。
谷原も「これからも体調には気を付けて、アメリカで優勝と、年間チャンピオンを目指して頑張って欲しいです」と、再び主戦場に帰る後輩の背中にエールを贈る。
ジュニア時代に四国で共に戦った同学年の木下稜介は、このあと松山がすぐ米ツアーに戻り、今週のWGC「フェデックス・セントジュード招待」に出ると聞いている。
木下も同大会に出場権を持ち、先月の全英オープンから先入りしている。
「コロナ明けで調整が難しかったと思いますが、さすがのプレーでした」と、改めて偉大な同級生に賛辞を贈り「会場で待ってるよ…!」と、呼びかけた。
選手会長の時松は、「メダルには届かなくても2人の活躍を見て、ゴルフって凄い、カッコいい…って、思って見てくれた子たちが必ずいると思うんです」と話し、「僕たちの期待を一身に背負って戦ってくれた松山さんと星野選手に、心からありがとうございます、とお伝えしたいです」と、松山と共に日本代表をつとめた星野陸也への感謝も忘れなかった。