「池田選手(13-15年)も、石川選手(18-19年)も、げんちゃん(20-21年)も、みな頑張ってくれたのに、なかなか試合も増加傾向とはいかない。難しいのかな、と感じていた」と、20代に奮闘した歴代3人の苦労を思いやり、「若い選手たちには上の人たちに意見が言いにくい、というのはあったと思う。でも、僕みたいなオッサンならズバっと聞けたり言えちゃう利点もある」と、43歳の貫禄を全面に押し出すつもり。
就任してすぐ取りかかったのは情報収集と、そこからの問題点の洗い出しと、対話。
「スポンサーさんに対してはもちろん、JGTOや僕ら選手同士もそうだけど、コミュニケーションが足りていない部分もあったのではないか。まずは情報が隅々まで行き渡るように」と、関係各所との意思疎通につとめる。
2017年から3シーズンを、主に欧州ツアーで過ごした。
異国で見てきたもの、温めてきたアイディアや施策もいま早急に、幹部会議で共有中だ。
数ある懸案事項の中でも谷原が真っ先に実現させたいことのひとつが、練習日からギャラリーに観戦していただける試合をひとつでも増やすこと。
「男子プロは怖い…って、よく言われますけど、そりゃそうですよね。いきなり真剣モードから見ていただくわけですから。日本ではほとんどの試合が本戦からしか入っていただけないけど、海外みたいに練習日から見られる試合がもっと増えれば、さすがに練習からピリピリしてる選手はいないですから。印象を変えられるチャンスも増えると思うんです」。
各大会前日のプロアマ戦も、時に議論の対象となってきたが「海外の選手と比べても、日本の選手は凄く頑張っているな、と感じます。僕が見てきた中でも、日本選手のホスピタリティは世界一と言ってもいいです」と、断言する。
「そういう良いところは継続しながら、いろいろ変えていくのは難しいですけど、もっとこうしていきましょう、というお願いはできる。男子、ちょっと変わって来たなと言ってもらえるように。良いことはどんどん提案して、とにかく上を目指してやっていかないと」と、ベテランの新・選手会長は、ゴルフと同じく前のめり。
どんなアイディアも、周囲の協力や理解が得られなければ実現しないが、「小田孔明も、中西直人も堀川未来夢も、行動力と発信力を兼ね備えた熱い男ばかりですから」と、頼りになる3人の選手会・副会長に加えて、前任の池田勇太から、このたび選手会の事務局長を引き継いだ宮里優作も、新体制の要に据える。
母校・東北福祉大の2年後輩は、男子ゴルフきっての優等生とも言われ、「とにかく律儀で几帳面。誠実でまじめな男だし、考え方もフラットで柔軟」(谷原)ともっぱら評判の宮里が、16-17年の選手会長経験者であることも心強い。
「たぶん大丈夫と思う。この2年で絶対に男子ゴルフは良い方向に向かっていける」と、大船に乗ったつもりで漕ぎ出した。
「スポンサーやファンのみなさんに喜んでいただけて、なおかつ選手全員が思い切りゴルフに集中できる環境をいま作る」と、力をこめた。
昨年のツアー2勝(通算16勝)を契機にまたいつでも海外に飛び出すつもりだった。
「もちろん、スポットで出られる試合があれば今年も積極的に出ていくつもりです」と、じっとはしないが「以前みたいに向こうに行きっぱなしで…というのはしばらくおあずけですね」と、いったん自分の夢は後回し。
ひとまず2年は腰を据え、必ず2年で結果を出す決意だ。
新・選手会理事に聞く「男子ゴルフをどうするの??」①中西直人に聞く
新・選手会理事に聞く「男子ゴルフをどうするの??」②堀川未来夢に聞く
新・選手会理事に聞く「男子ゴルフをどうするの??」③小田孔明に聞く