記事

東建ホームメイトカップ 2022

ファイター・ミツと呼んで。30歳の田村光正が狙う大逆転KO

プロ転向9年目の田村光正(たむら・みつまさ)が自己ベストの「65」。通算6アンダーで、3日目のリーダーボードに名前を載せた。

 

昨年のファイナルQTランク11位の資格で、本格参戦は今年で2度目。2018年の本大会で、2日目8位タイにつけた経験があるが、「あのときと、今とはマインドも体も技術も全然違う」と、言った。

 

首位とは6打差あるが、「今日の結果には驚いていない」と、7位タイからの逆転をかけて確信のV争い。

この境地にたどり着くまでの道のりを語るには「3時間はかかる」と、笑った。

それでも、駆け足で語った紆余曲折のストーリーを、ざっと駆け足でご紹介。

 

兵庫県に生まれ、父の手ほどきで9歳からゴルフを始めた。ジュニア期から活躍し、名門・東北福祉大では松山英樹と同期。自身もプロを目指して4年時の2013年にプロ転向したが、QTサードで敗退。

プロを諦め一度はベルトメーカーに就職した。

 

だが、半年足らずで退職。再びツアーの世界を目指した。

飛躍の契機は、コロナ禍だった。

2020年12月の特別QTで、練習日に発熱。陽性判定を受けた。

そのまま10日の隔離生活は、過去の自分と向き合い人生を顧みるのに十分だった。

 

「このままではツアーには上がれない…」と、悟った。

その年、試合の中止が相次ぐ中で、同じ関西出身の同級生という縁で、昨季賞金3位と大活躍した木下稜介と交流を深めていたことも励みとなった。

 

「彼と比べて自分には何が足りてないか」。

病床で、問いかけ続けて「考え方も行動も、これまでと180度変えていこう」と、決断。

 

「隔離が明けた瞬間からすぐに筋トレ。この1年半相当、鍛えました」と、プロテニスや格闘家も見る中西辰宜(なかにし・たつよし)トレーナーについて、今や300ヤード越え。

40ヤードの飛距離アップも成功させた。

 

「絶対にツアーに勝つんだと、毎日毎日鍛錬を続けてきた。この1年半、すべてゴルフに費やした。その成果がいますごく出てきた」と、充実に満ちている。

 

「まずは、シード権の獲得とツアー1勝。その先にあるのが賞金王」と掲げた目標も、1年半前には考えもしなかったものだ。

 

今年、選手会が打ち出した「ニックネーム大作戦」で、自ら命名したのは光正の「ミツ」を加えて「ファイター・ミツ」。

「本当に、いつも格闘家みたいに体を追い込んでいますので」。

 

今週は、人生を変えてくれた中西トレーナーがキャディをつとめる闘魂タッグ。

30歳。始めるのはいくつになっても遅くない。国内初戦でさっそくそれを証明してみせる。


いくつからでも始められる!! ©JGTOimages


関連記事