悲願の三好攻略へ。36歳の池田勇太が再び満身創痍にムチを打つ。

5打差の5位から出て5バーディ、1ボギーの「67」。

首位を走る桂川との差を5つにどとめて「もう1日、なんとか俺の体、頑張ってくれよという気持ちです」と、祈るように言った。

首痛による1週間の検査休養から戻ってきた池田が、コースでくわえていたのは厚さ3ミリ、幅10ミリ、長さは40ミリの木片だ。

「顎関節のずれからくる体のバランスの崩れ。無理な負荷がかかるとラウンド中、突如として全身が痛み出す」。

首痛もその影響からきていたそうで、木片は作成中の矯正器具が完成するまで、医師から処方された仮治療の一種。

「僕はあごが左回転4度傾いていて、左に寄っちゃうんです。それが顔面神経痛につながるそうですが、普段のゴルフはいいんです。でも、試合になると途端にいつもと違う力が入ってがたがたと崩れていく」。

原因が分からないときはつらかった。
特に終盤ホールの負担がきつく最初、左の首にきて、強い痛みが股関節に移動し、最後は足首の関節にくる。

輪厚での3勝目をかけて戦った2週前の「ANAオープン」では痛みの影響で、3位に終わったV争い後に左頬が「ブタのように腫れ上がった」という。

「ラウンド中に体のバランスが崩れてしまうので。長い時間運動ができる感じじゃない、と言われた」と本来は、しばらく安静にするのが一番だが、医師に許しをもらって出てきたのは「僕の中で特別な思いがあるから」。

2008年から13回出て2位3回を含むトップ5が5回。
とりわけ2位に破れた初出場の2008年は､悔しくて涙が出た。

「優勝してないんでね。苦い思い出しかないけれど。僕がプロになっていろいろなきっかけを与えてくれたのもこの試合だし､この試合が好きだし､感謝の気持ちを持ってここに来ている」と、今大会で6度目の最終日最終組にこぎつけた。

ショットもパット時も、左の歯で小さな木片を噛んで打つと痛みもわずかに軽減するそうだ。
「三好で1回でも優勝したい」。
最終日も食いしばる。

• 池田 勇太