初日から首位を走り続ける完全Vでの今季初優勝に「1年が終わる前に優勝できたことを嬉しく思います」と、次週にもシーズン最終戦を控えた滑り込みの通算8勝目を喜んだ。
最終日は、1差の単独首位から出てボギーなしの「62」をマーク。コース新の10アンダーを記録し、通算スコアで最多アンダー記録を4つも更新する32アンダーに到達した。
「なかなか、32なんて出るもんじゃない。自分が一番びっくりです」と、本人が一番目を剥いた。
「できるだけ長く日本ツアーの記録として残ればいいな、と思います」と、大偉業を噛みしめた。
昨年の堀川未来夢(ほりかわ・みくむ)の優勝スコアは19アンダーだった。「今年は20くらいかな」と開幕前の見立てを自ら破る快進撃だった。
「まさか32が出るなんて、始まる前は思っていない」と明かしたが、前日3日目に高知開催での大会最多アンダーを、すでに1打上回る22アンダーに到達。
これまでは、2014年「TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN Central」のI・H・ホの「28」が最多と知ると、当初の目標を大胆に上方修正した。
「きょうは30アンダーを出す」と狙ったとおりに、飛んで曲がらないショットと、先週マイナーチェンジしたばかりというパットを駆使して、6メートルを沈めてこの日、7つめのバーディを獲った14番で、まず着実に記録を更新。
29アンダーに到達すると、一気にエンジン全開した。
16、17、18番で圧巻の3連続バーディで締めくくると2位と6差をつける圧勝で、決着した。
チャン・キムより30センチも低い。
この日、最終日は身長158センチの比嘉一貴(ひが・かずき)が史上最小の賞金王に就いた。
比嘉が、今季4勝目を飾った先週の「ダンロップフェニックス」で昨年覇者として、新ブレザーを着せかけ「僕も」と奮い立ったばかりだった。
今週は、自身が勝者として表彰式で新賞金王と肩を並べて「おめでとう」と、祝福。
「カズキは今年4勝もして、賞金王にふさわしいプレーをしたね」と、改めて王座継承の賛辞を伝えた。
次週のシーズン最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で2020年に続く大会2勝目を狙ったあと、来年1月の開幕戦から米二部「コーンフェリーツアー」に参戦するつもり。
その前に、人生の一大イベントが待っている。
3本のウェッジに刻まれた大切な人との記念日が、幸せを物語る。
「52度が誕生日、56度は最初にデートした日。そして60度の12月10日が彼女との結婚予定日です」と、会見でもデレデレだった。