毎回、分刻みの贈呈式に合わせてスズキ自販宮城の伊地知さんが、各地を自車で追いかけ選手会長に随行し、各自治体への車両受け渡しの手続きを完了してくださる。
「きのうは宮城から盛岡を往復してもらってきょうもまた…。本当にお疲れ様です!」と、長年の恩人をねぎらい寄贈式へ。
ここ福島県では、ABEMAツアーの「ダンロップフェニックストーナメントチャレンジふくしまオープン(8月31日ー9月2日)」を継続中だが、レギュラートーナメントの「ダンロップスリクソン福島オープン」は、一昨年をもっていったん休止中。
「ぜひまた復活していただきたい」と、高野武彦・福島県社会福祉協議会副会長の待望論に、「もちろん、僕たちもその思いで一杯です」と、谷原も大きくうなずいた。
同・福祉協議会には、谷原の母校である東北福祉大のご出身者も多いそうで、谷原の後輩で宮城県出身の岩田寛(いわた・ひろし)が先々週の「中日クラウンズ」で大会2勝目を飾った際にも、大いに沸いたそうだ。
前日11日に向かった岩手県社会福祉協議会では同県&同大出身の米澤蓮(よねざわ・れん)に期待する声がたくさん聞かれたように、地元選手の飛躍こそ何より明るい材料になる。
ジャパンゴルフツアー選手会による東北3県への福祉車両の寄贈は今年9回目となるが「こんなに長くご縁をいただいていることは、僕ら選手にとっても誇りです。微力ではありますが、今後とも少しでもみなさまのお役に立てるよう頑張って参りますので、引き続き応援のほど、なにとぞ宜しくお願いします」と、寄贈の挨拶で改めて頭を下げた。
高野・同副会長によると、県内の原発事故による風評被害には、いまなお「8割の壁がある」という。
「検査もちゃんとしているし、もう気にならないよ、と8割が言っても残り2割の方はやっぱりねぇ、と…」(高野副会長)。
目には見えない爪痕こそ根が深い。
消費者不安の完全払拭を目指して、同県では食文化の充実に特に力を入れられているそうで、新酒の品評会では9年連続で日本一を継続中だそうだ。
県産の果実や、豊かな海産物の品質向上にも努力が続いており「どれを聞いても美味しそう。福島には、ハワイアンズ(※スパリゾートハワイアンズ、フラガールで人気のいわき市の宿泊施設)もありますし、僕も息子たちを連れて遊びに来たいです」と、谷原も家族サービスの候補地としてリストアップ。
壁打破の一助となりたい気持ちでいっぱいになっていた。
分刻みで宮城、岩手と福島を縦断した選手会長によるみちのく寄贈旅。
コロナの影響もあり、就任2期目の谷原にとっては初の恒例行事となったが、「実際にこうして伺わなければわからないことが山ほどある」と、自治体のみなさんの声に耳を傾け続けた2日間。
「本当に東北で、なんとかまたレギュラーツアーを1試合…。真剣に、考えてるんですよ」と、帰りの新幹線でも頭をひねった。